第59話 5/18-A 組み立て

 本体を改めて出す…… 出そうとする…… 

 重い!

 しかも何処を持ったらいいのかなかなか迷う!


「しゃーないなあ」


 そう言いながら奴は長い柄を大きく腕を広げてひょいと持ち上げた。


「こっちでいいんか? シートあるけど」

「あ、うん」


 長丁場になるよな、と思ってちゃんと今回はブルーシートも敷いておいた。テント張る時のグランドシートにしているやつ。

 その上に二人して乗って、ともかく取説に従って、中身の確認。


「こりゃ他でも役立つからちゃんと無くさないでいろよ」


 そう奴が言う。


「六角レンチとハンドルレンチと両口スパナとマイナスドライバーなら他でも使える」

「プラスは無いんだな」

「この機械にゃ必要ねーしな。六角貸しな」


 図によると細い曲がった棒らしい。ほい、と渡す。


「まずここのネジを外す。こんな感じ」


 だが全部取ってしまう訳じゃない。


「ほい、全部少しずつ回して取ってみな」

「え、やってくれるんじゃ」

「覚えろや。買ったんだろ」

「……へーっす……」


 その後も六角レンチの向きはそっちだと力が要る、だの、ハンドルを差し込んでもすぐにネジを付けきってはいけない、対角線で回せ、とかあれこれまず言われた。


「向きこれでいいんか?」

「まあ後で修正できるからいいよ。で次は、カバーか」


 まだ刃を付ける段階ではないらしい。刃の上に舞ってくる草を除けるためのカバーを取り付ける作業だ。


「え? こっち?」

「……図をよく見ろこっちだ」


 確かに向きがあっちとこっちでは違う。

 何度もにらめっこして、何とか元々あったネジをゆるめて外して、カバーを入れてまたつける。


「で、次がちょっとアレか。刃を付けるんだったら手袋用意しろや」

「あ、うん」


 一応それも用意はしておいた。


「で、まず上の部分を取る…… んだけど、その時に土台を押さえておかないと回せない」

「え? じゃあどうすんの」

「だからよく読めって。そこに穴があるだろ?」

「ある」


 少し探したが。


「その部分を回すと、下にもう一つ穴があるから、その二つを六角レンチで留めとく」

「入れればいいんか?」

「まあそのくらいは押さえておいてやるよ。そしたらハンドルレンチの小さい方で、真ん中のネジを外しな」

「え、動かない」

「向きが逆。こいつは回し方が逆なんだ」


 ……とか何とか言ってできた時には何だかひどく疲れてしまった……


「で、今日はこの後雨が降るっていうから草刈り自体は今度にしとけや。ちなみに燃料は? 無かったら分けるぞ」

「頼むわー」

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