第58話 5/18-B 何でまず刈り払い機なんだ
「へるぷー!」
と言われて奴に行ったら、何とリョービの刈り払い機があった!
「買ったんか」
「買った」
通販のトラックはよく来るので、こいつが何買ってたのかまでは把握してないんだよな。
ところが玄関にこのでかい箱があるとまるとまでは。
前々から裏の草が~とは言っていたけど、まあ鎌か…… バッテリー式のポータブル草刈機かその程度だと思ってたんだよな。
「いや結局はこれが一番早くない?」
「早いとは思うよ? だけどおめー、まず組み立てられなくてヘルプコールしてくる奴が何言ってるよ」
「いつでもうちに頼めって言ってるじゃん」
「それは刈り払い機自体を貸すとかー、アタシがそれ持って刈り払いに行くとかそういう意味だろーに」
「いや、でもここはやっぱり一度できる様になりたかった」
さすがにがくんと肩を落とさずにはいられねえ。つかこいつ、これ持ってできるんか?
混合燃料でエンジン動かす刈り払い機ってのは、まず重いんだよ。だからわざわざ肩に掛けるベルトが必要。
それに危険。
何って言っても回転数がハンパねえ鋭い刃のあつまりだぜ?
使う時にはちゃんとズボンの裾が絡まったりしない様に長靴履いて裾入れてだな。手にはできれば革手袋が欲しいとこ。
刃物を扱う時には本当は革ものが欲しいんだよ。別府でバイトのために工場で働いた時にもそう言われた。アタシだって慣れるまでは革手してたものなー。竹細工も。 それに何と言ってもあとは保護メガネ、でかい音がするから耳栓も欲しいとこだ。まあ保護メガネはこいつの場合グラサンがあるとか言いそうだが、耳栓は欲しいわな。普段から結構でかい音に弱いから。
「……ともかく箱から出すべ」
そこからだ。全く。
どうもその時点で組み上がったものが入ってると思ってたらしい。あほか。あの大きさがこの箱に入るかっての。
「だってでかいじゃん!」
「チャリ運転する様なハンドルがついてるのにこの幅はねえだろ!」
そう、その組み立ての図を見てギブアップしたのだ。こいつは本当にこういう取扱説明書ってのに弱い。
「パソできるのに何でこういうのできねーんだよ」
アタシはそっちの方がさっぱりわからん。実際ウチのデスクトップのパソはこいつに立ち上げてもらったんだ。
「そりゃ必要と慣れだよー」
「だからこっちも同じだっての。ともかく本体出しな」
うおっ、と全く色気もへったくれもない声を出して奴は本体を何とか持ち上げた。
やれやれ先が思いやられる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます