第39話 4/30-B 庭キャンの理由

 庭キャン。

 まあ簡単に言えばこいつの裏庭兼畑でやるキャンプだ。

 ウチではなくこいつのとこ、というのがミソ。

 そーすると二人きりでキャンプができるのだ!

 ただし!

 その場合はこいつのその裏庭兼畑がちゃんとそれだけできるスペースがあるか、ということで!

 残念ながら今年は雨が降ったり何だりで、ともかくすぐに草が生える!

 ざくざく刈ってもまた生える! 

 今年の夏はもう絶対エンジン式だ。

 つかいい加減ちゃんと花壇か畑にしやがれ。

 ……でも言っても世話できないからなあ。だから球根の小さな花を勧めてるんだ。それこそ植えておきゃ毎年生える系の!

 そんで庭キャンは、その多少なりともの草刈りをする口実だったりする。

 スペースが無いといかんだろ! 直火して燃え広がっても困るし!

 ちなみにテント以外の道具――― 焚火台とかバーナーは元々兄貴のだ。子供ができてからはキャンプの道具も変わってしまったらしく。で、一人二人用のものをしっかりせしめてやった。

 里山でもちょくちょくしてるけど、それはどっちかというと夏の年中行事。冬は風が強いからやめとく。風の音が怖いと言うあいつはここいらの住人としちゃ何だぞ。

 つか小中学校の頃からやってるのがそっち。庭キャンはこいつが街から戻ってきてからだ。

 誰も居ない家に住む様になって、あんまりにも奴がこっちにばかり来るから、ちゃんと居着け、とばかりにアタシがそっちに行くことが増えた。

 いやいい加減そっちに住むってことも考えるんだけどさ。こいつ一人にしておくのはどうも危なっかしい。

 んだけど、一人で居る時間も欲しいとか言うのでまた何というか。アタシは離れを仕事場にしてるから、そっちに通えばいいだけなんだけど。

 まあたぶん、そういうことになると結局アタシ達の関係が今までぼーっとしていたものが割とあからさまになるからだろなー。

 やるこたしてるし、別にアタシはどう見られようが構わないし、もしウチから追い出されたら、作業場なぞ何とでもするし。

 けど、こいつはどーもやっぱりウチに気を遣う様で。

 今更五人も居る中の一人がどうなってもなんだけどな。それにねーさんとイツハは気付いてる。かーさんは…… どうだろ。親父なんぞ下手な男とくっつくよりいいと思ってるかもしれない。姉貴が結婚した時おいおいウチで泣いたの誰だよ。

 まあともかく庭キャンの用意のために草刈りだぜ。

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