第8話 後悔
前にも言ったけど私は自分が不幸だとは思わない。
だって家族とは言えないけど一応父親と兄はいる。
友達もいるし、恋愛だってした。
本気の恋愛だったかはわからない。
けど若い時の恋愛ってなんだかとっても尊いものな気がする。
あの時、あの空間にしか存在できないもの。
今になって思い返すと恥ずかしい意外に何も思えないが、あの時はそれが一生懸命だったんだよ。
一生懸命だったからとっても美しいんだと思う。
大人になってどんなに取り戻そうとしても取り戻せないもの。
そんなものが学生時代にはたくさんあったんだって、大人になってから思う。
あの時こうしていれば、こっちを選んでいればっって、そんな後悔は誰もが持っていることだと思う。
”やらずに後悔よりやって後悔”そんな言葉をよく聞くけど、やる勇気もやらない勇気もどちらも大切だと思う。
人は結局、後悔する生きものなんだと思う。
だからどっちを選んでも後悔する。
だから素直に自分の心に従って答えをだせばいいと思う。
それがわたしもできていればっておもうことがたくさんある。
結局わたしは自分を偽ることに一生懸命で一度も自分の心の声をきいてあげなかったのかもしれない。
だから大人になってこんなに後悔することがあるのかな?
けどもう遅い、だって後悔は字のごとく後で悔やむことなんだから。
過去は変えられないけど未来はきっと変えられる。
だから後悔しない未来を築きたいと思う。
けどそれも叶わないかもしれない。
結局わたしは自分の殻を破れずにいるのだから。
高校をでてわたしは一人暮らしを始めた。
高校をでてすぐ地元を離れる人は少なかった。
そのせいか友達が地元で一緒に遊んでいる話を聞くとうらやましく思ったときもあった。
だけど一人暮らしを始めたばかりであったこと、専門に行き始めたこと、親に仕送りをもらっておらず、お金を稼がないといけなかったこと。
とまあいろいろあって忙しかったからか地元の友達と少しずつ疎遠になっていった。
わたしとしては誘われればどんなことをしても行くつもりだったのだが友達の方が気を使っったらしい。
けど一番の理由はそこではないらしい。
それはしばらくしてから気が付いた。
いつだったか小さいころから付き合いのある友達と飲んでいた時だった。
もう少し他人を頼ればいいと言われた。
それは難しい。
わたしは友達が大切で、頼らる存在になりたいと思っていた。
大げさに言えばなにがあっても守りたいと。
だから弱い所は見せたくなかったし見せなかった。
当然、こちらが頼ることもなかった。
だけどどうやら、そのせいで友達からは一線を引いているように思われていたらしい。
わたしのなかに絶対に踏み込ませない領域があると。
そう言われてしまうと確かにと納得してしまう。
頼る相手は当然頼られたいとも思うはずだ。
それなのに相手から一線引かれていると感じてしまえば友達とは言えない。
本当の友達とは自分の全てを見せられる存在なのかもしれない。
そっか。
わたしには本当の友達はいなかったんだ、そう思った。
だからその時はよくてもみんな離れていく。
独りになりたくないと必死につなぎとめてもけっきょくは独りになる。
だったら独りで良い。
この先独りでもやっていける。
どうせ離れていくなら最初から独りでいい。
失う事のほうがつらい。
母を失って嫌というほど思い知らされたことだ。
他人なんてどうでもいい。
だけど、いつか、いつか自分の弱い部分もすべてをさらけ出せるような人に会いたいと思った。
いつからだろう。
いつからわたしはこんなにも弱くなったんだろう。
自分の弱さを見せられないほどに弱くなった。
怖いことを怖いと言えなくなった。
好きなものを好きといえなくなった。
人と関わる事が嫌になったのは。
どんどん独りの世界に入っていく。
独りでいればこれ以上傷つくことはないから、独りはつらいけど楽だ。
いままでは努力して実力で自分の居場所を掴んできた。
それは間違いだったのかな?
実力、言い換えればそこに私という人間はいらない。
だってわたしという人間を認めてもらって得た居場所じゃなくて実力で得た居場所だから、きっとわたしよりすごい人がいたらわたしはいらないのかもしれない。
だから必死に存在価値をアピールしてきた。
居場所がない辛さというものを嫌ほど知っているから。
お前なんていらない、そういう目がどんなものか知っているから。
何度もこんな自分を変えたい。
そう思ってきた。
自分の弱さをさらけ出し、自分は強くなんかない、いつも一人でないているのだと叫びたい。
わかってもらいたい。
自分の弱さをすべてさらけ出してもその弱さを含めてわたしを認めてくれる人がほしい。
だけどいつも、今日こそは言おう。
そう決心してもいざ言おうとすると言葉が出ない。
言ってもきっと相手は受け入れてくれると思う。
そういう相手を選んでいるのだから。
だけど万が一幻滅されたら?
そう思うと怖い。
だから言えない。
いつまでたってもわたしは、わたしの心は小学5年生のころから成長していない、
“弱い”ままだ。
"家族"に"私"は必要ない 銀髪ウルフ @loupdargent
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