第23話最悪な殺され方
「はっ........!」
ここは、先輩の家の部屋....。ってことはさっきのは夢だったのか?
「なんつー。夢みてんだよ。」
目覚めが悪いにもほどがある。
時間を確認すると5時30分だった。
はぁ。そろそろ時間じゃねぇか。
準備しないとな。
すぐに寝間着から洋服へと着替えて、部屋の外にでる。
妙に静かだな。
人の気配を感じない。
どうなってんだ?あいつらはどこに行ったんだ?
おいて行かれたのか?
まだ時間にはなってないはずなんだが.....。
「やめて....。助けて....。」
この声は.....理蟹先輩の声?
厨房の方から聞こえる。
誰かから、襲われてんのか!?助けないと!
急いで声のする方へ向かう。
ガチャッ(厨房の扉を開ける音)。
扉を開けて中に入る。
なんで....。
目の前の光景を理解できない。
あんなに仲良かったのに。
どうして....。
榊原さんが理蟹先輩の首を締め上げている光景が、目に飛び込んできたのだ。
訳が分からない。
「榊原さん....!なにやってるんですか!」
このままじゃ。先輩が死んでしまう。
状況の理解なんて、あとからでいい。
まずは、先輩を助けないと。
厨房にある果物ナイフを手に取り、榊原さんの腕を切りつけて、無理矢理先輩を引き離す。
「先輩!大丈夫ですか!?」
応答はない。
だが呼吸はしているようだ。
よかった。気を失っているだけで....。
「榊原さん。なんでこんなことを....。」
穏やかな表情をさせながら、俺の質問に答える
「なんでって....。これが私の願いだからかな....。」
そういうと顔を徐々に歪ませて、あざ笑うかのように笑いはじめた。
アハハハハハハハハッ
恐怖のあまり身動きがとれない。
「榊原さん....。やめてください。」
ビビりすぎて、そんな言葉しか出すことが出来ない。
「榊原.....?そんなのボクが演じていた、空想の人物なんだけどなぁ....。」
榊原さんの顔がみるみる変化していき、全くの別人の顔になってしまった。
だが、その顔には見覚えがある。
さっき夢の中で見た奴だ。
「お前は....。クアか!?なんで、こんなところに....。」
「ずっといたじゃないかぁ。榊原 静枝としてだけどねぇ。」
はっ?嘘だろ。
榊原さんの正体がクア?
頭が追いつかない。
「唐突だけどぉー、質問していいかなぁ?あのさぁ、人が一番されていやな殺され方って何だと思う?」
こんな奴の話なんて聞かない方がいい。
それよりも、逃げる方法を考えるんだ。
まだ割り切ることができない自分に、そう言い聞かせる。
「答えないのおー?面白くないなあ。じゃあ、正解教えるねえー。正解はね....。自分が信じていた人間によって、殺される事でしたぁ。アハハハハハッ!」
「..............。」
無視しろ。今は逃げることに専念するんだ。
「しずえ!!やめてーってレンちゃんが、なんどもなんども言ってきてねぇー。そのたびに殴ったり蹴ったりしたんだぁ。でもねぇ....。面白いことにそいつ、反撃もしようとしないんだよぉ。なんでだろうねぇ?そしてそのまま信じていた人から」
「だまれ....。」
今は逃げることだけを考えるべきだ。
それは分かっているはずなのに。
許せない。
コイツだけは、許すことはできない。
「あれぇ?無視するんじゃなかったのお。」
「気分が変わった。お前を........今ここで、殺してやる!」
ナイフで斬りかかるが、当たらない。
いや、正確にはナイフが透過したと言うべきだろうか。
「ボクには、そんな攻撃きかないよぉ。霊体を物理的に殺すことなんて、不可能なんだからねぇ。」
「そうか....。じゃあこれはどうかな?」
この声は.....理蟹先輩!?
声と同時にレーザー光線がクアめがけて飛んでいき、命中する。
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