第18話家

「準備はできたか?」

「理蟹さん。一旦家に帰って服とか持ってきたいんですが。」

「間遠。お前、そんなに死にたいのか?さっさと私の家に来るか、死ぬかどっちがいいんだ?選べ。」

怖すぎだろ。

「出発だ。お前ら。道中、敵に襲われる危険があるから気を引き締めろよ。」


学校を出発してから50分ぐらいが経過した。さすがに疲れた。というか理蟹先輩は、いつもこんなに離れたところから学校に通っているのだろうか?このあたりには空き地が広がっており、家らしき建物は見当たらない。着く気配すらしねぇ。

歩いていた理蟹先輩の足が急に止まった。

「ここが私の家だ。ちょっと待っとけ。」

「相棒。まさか先輩がホームレスだったとはな。さすがの俺もビビるぜ。こんなところで一夜を過ごさないといけないだなんて、きつすぎだろ。」

富田が小さな声でそんなことを言う。

こればかりは富田に同感である。ここで寝泊まりするよりも、家に帰った方が絶対安全だしな。

ウィーン

次の瞬間、地面が沈んでいく感覚に襲われた。

なんだ!?これは地面が沈んでいってるのか?いや違う。大型エレベーターか!

「私の家は、地上から1000メートルの深さにある。ここなら無茶苦茶安全ってわけだ。」

ガコン!

白っぽいタイルに、白い天井。まるで病院とか研究施設のようだな。

「お前らの部屋はこのA-1~A-3号室だ。自由に使っていいぞ。あと、この家にはもう一人住んでいる奴がいるけど気にするな。なにせ数年間外に出てないぐらいのレベルのひきこもりなうえに、根暗だからまず会うことはないだろうからな。」

「おーい。レン。誰が根暗だって~?」

聞き慣れない声が頭に響く。

理蟹先輩の背後に誰かがいる。めがねをかけて、白衣を着ている女の人だ。

「珍しいな。お前が外にでるなんて...。」

「こっちのセリフだよ。まさかレンがお客を連れてくるとはね...。こんにちは。榊原 静枝(さかきばら しずえ)だ。よろしく。今日は疲れただろ。夕食ができあがったら放送で知らせるから、それまでくつろいどいていいよ。」


手短なあいさつを終わらせて部屋に入る。ちなみに富田がA-1号室、間遠先輩がA-2号室、そして俺がA-3号室というような配置で決まった。部屋の中はむちゃくちゃ広くて、風呂、テレビ、きれいなトイレなどが備わっている。ホテルのレビューの中でも、星5つ中、星4.5を獲得できるぐらい良いところだ。悪いところは、スマホの電波が届かないことぐらいだろうか?

しばらくの間ベットに横たわりながら、ゆっくりとしていると妙な音が聞こえてきた。

バキバキバキッ。めきめきめきっ。

何の音だ?

部屋を出てから音がする方へ向かう。その音はどうやら厨房らしきところから聞こえるらしい。おそるおそるのぞいてみると...。

そこには、不敵な笑みを浮かべながら(そう見えるだけだったかもしれないが)料理をする理蟹先輩と榊原さんがいた。



















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