第17話可能性

「お前の家から学校まで案外近いな。」

「まあ、歩いて10分ぐらいしかかかりませんからね。」

だが悠長に時間を潰す余裕はない。

~~~8時50分~~~

あと10分で朝のホームルームだ。

「おい!帰りのホームルームが終わったら、部室に来い。あのアホ2人にもクアとかいう狂人について教える必要があると思うしな。」

アホ2人?ああ!富田と間遠先輩のことか。教えてしまうと二人にも危険が及ぶんじゃないか?

「あいつらにも危険が及びませんかね?」

「おそらくクアとかいう男は私とお前を狙っているというよりかは、オカルト研究部の部員を狙っていると考えた方が妥当だと思う。なにせ私とお前の共通点は部活動だけだからな。」

なるほど。俺や理蟹先輩と同じ共通点(部活)をもつ富田たちもターゲットとなっている可能性があるってことか。だがそうなるとあの狂人が俺らを狙う理由は、部活動となる。あの地下室での出来事が関係しているのだろうか?

「やっぱり、クアって奴はあの地下室のことと関係しているんですかね?」

「100%関係してるとは言い切れないが、心当たりが今のところそれしかないな。それにクアの影響による反応だったかは分からんが、お前のアパートに行ったときのユガミルの反応が、地下室の化け物が出現した時に示した反応と酷似していた。もしさっきの反応がクアによるものだったとすると、奴はあの化け物と同じ存在である可能性も考えられるな。」

ものすごく現実離れした考えだが、状況が状況だ。あり得なくもない。

「もうそろそろ朝のホームルームが始まるな...。帰りのホームルームまでに死ぬんじゃないぞ。じゃあな。」

笑えない冗談だ。


教室に入り席に着くといつものように富田が、話かけてきた。

「相棒!おはよう。遅刻ギリギリじゃねぇか。ファンキーだな。おい!」

「おはよう。お前の髪型もファンキーだな。」

「おっ!おれっちの髪型がイカしてるってことか?」

ファンキーにはふざけてるって意味もあることを知らないみたいだな。というかアフロ似合ってないぞ。富田。

~~~12時30分~~~

「よし!帰りのホームルームも終わったし、部活行こうか!相棒。」

まだ昼だぞ!?と言いたくなったが、俺は思い出した。この世界は昼に学校が終わることが当然のようになっているということに。もう受け入れるしかない。

「そうだな。急いで部活に行こうか。遅れたら先輩から怒られるしな。」


「...というわけだ。分かったか。二人とも。」

理蟹先輩が、俺の身に起こったこととクアというヤバい奴が俺たちを狙っているかもしれないということを富田と間遠先輩に手短に説明した。

「分かったっす!大丈夫っす!」

軽いな!

「なるほど。それはおもしろそうですねぇ。」

なにも面白いことなんかねぇよ。

本当にこの人たちは分かっているのか?大丈夫なのだろうか?

「お前ら!明日の朝から、そのクアというヤバい奴のことについて調べるために、あの地下室へと乗り込もうと思う。今日は家で各自休んでくれと言いたいところではあるが...今一人一人バラバラになるのは危ない。だから今日は私の家で寝泊まりしてもらう。まぁ要は合宿みたいな感じだ。生活用品とかは私の方で準備しておくから安心してくれ。」

「相棒!女子の家に泊まれるぞ!ぐへへへへ。やったぁ!」

富田...。昨日俺を変態呼ばわりしていたが、お前も大概だと思うぞ。









  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る