第12話破裂

学校から目的の場所へ歩いて行く。道中、部員たちの武装が周りの目を引いていたので非常に恥ずかしかった。だが、当の本人たちは全く気にしていない様子だ。その鋼のメンタル”だけ”は見習いたい。


「お前ら!ここに入る前に自分の武装を確認しろ!」

理蟹先輩が地下への階段の扉を開けながら声を張り上げる。

「相棒!エアガン(ピストル)一丁貸してやるよ。その装備じゃ戦ってもすぐ死ぬからな。後、小便したくなったから先に行っといてくれ。」

緊張感ねぇな。

富田から小さくて頼りないエアガンを受け取る。

こんなの気休め程度にもならないだろうな。戦う前に逃げた方が良い。


周りに注意しながら、階段を降りる。

何事もなく、昨日化け物に襲われた場所である一番奥の部屋のドアの前まで来た。

「ここにあの化け物がいるかもしれない!注意しろ!」

なるべく音を立てないようにドアを開ける。


部屋の中にはあの化け物がいた。だが、様子がおかしい。体が風船みたいにふくらんでいる。

理蟹先輩はハッ!とした顔で

「まずい!奴の体内のなかで、大きな磁場の乱れが形成されているかもしれない。このままでは、その影響をモロに受けてしまう。」

というようなことを言った。

「やっと。追いついたぜ。」

富田の緊張感のない声が響く。

ふと富田が持っている、ユガミル試作機をみると針があの化け物を指しながら、赤く点灯している。

「理蟹先輩。なんか赤く点灯してますけど大丈夫なんですかね?おれが壊しちゃいましたか?弁償ですかね?うあっ!!昨日のバケもんじゃねぇか。」

化け物に気づいた富田はエアガンを打ち込む。だが銃弾はするりとすり抜けてしまう。やはり物理攻撃は効かないようだ。

「落ち着け。富田。ユガミル試作機が反応しているということは、強い乱れが形成されている、とみて間違いないだろう。....だがな安心しろ。こういう時もあろうかと、対策はしてきた。」

そう言いながら、魔改造されたラジオみたいなものをとりだす。

ドラ○もんみたいだな。

「この装置はなあ。付近の磁場の乱れを緩和してくれるんだ。名付けて”磁乱緩一号”(じらんかんいちごう)だ。まぁ付近と言っても、この装置を中心としてだいたい半径30センチ前後ぐらいなのだが....。」

半径30センチ。4人も入るのか?

荷物を下ろすことで、ギリギリ入ることができた。だが、ギュウギュウづめできつい。足がふらつき倒れそうになったが、誰かの体をつかんで倒れることを回避できた。

「お、おい。どこさわってんだ。ぶち殺すぞ。」

俺がつかんだ体の主は理蟹先輩だった。ちょうど腰あたりに腕がいってしまっている。

「すいません。でもこの状況で動いたら倒れます!仕方がないんです。許してください。先輩。」

そうだ。今は緊急事態だ。仕様がないんだ。

「仕方がないって言ってるわりには、なんかお前ニヤついてないか?そのニヤつきやめろ。きもい。」

「相棒。以外と変態なんだな。少しあきれたぜ。」

みんなの視線が痛い。

そ、そんな邪な考えなどないはず....なのに。

『グガガガガッ。』

「もうすぐ破裂しそうですよ。捕獲できないのは残念ですねぇ。」

間遠先輩がそう言った瞬間

ボンッ

勢いよく破裂した。















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