第6話疑念/科学に恋するモノ

コンビニで腹ごしらえをした後、食後の運動がてらに遠回りをしながら家に帰る。

先輩曰く、俺は磁場を乱しているらしい。.....よくよく考えたらバカバカしい話だ。

だが、自分の周りで異常なことが起こっているのは事実だ。そしてその原因がわからないことも事実である。

あの変な話を信じざるをえなくなっている自分に対して笑いがこみ上げてくる。

あの先輩は俺をからかっているのだろうか?

まあ、あんなに興奮しながら嘘をつく人間などいないであろうが......。

もし本当の話だとしたら、先輩は何者なのだろうか?

そんなことを考えながら歩いていると、いつの間にか自分の家のドアの前に着いていた。

「ただいま。」

誰もいない部屋で俺の声が静かに響いていた。


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私の母は優しい人だった。熱が出た時は尽きっきりで看病し、夜怖い夢をみた時は私が眠るまでずっと子守歌を歌ってくれた。

そんな母はよく私に言っていた。

『あなたは好きなことをして、好きなときに笑いそして好きな人と恋をしなさい。』

この言葉はずっと大切にしている。


私の父はおかしかった。母が生きている頃はとても優しかった。でも母がいなくなってからはどんどん狂っていった。狂ったように実験にのめり込んでいった。そんな父は、よく私に言った。

『研究に、恋をしなさい。お前の名前はそういう意味だ。そうすれば、お前なら母さんを生き返らせられる。』

私のことなど見えていなかった。父は3年後、家ごと自らを燃やして命を絶った。

科学の力では母を取り戻せないことを悟ったのだろう。










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