第7話 燃

4月23日(日)

今日は学校が休みなので、ゆったりとした午前を過ごしていた。

時計をみると

~11時30分~

ああ、もう昼か。12時に部室に集まるように言われてたな。

めんどうくさいが、もたもたしていると遅れてしまう。俺は早めの昼飯を済ませて、さっさ準備をする。

よし、行くか。


11時55分ぐらいに部室前に到着した。まあすこしギリギリな時間ではあるが、遅れてはいないので怒られはしないだろう。

部室に入るとすでに部員たちが全員集合していた。


「おせーんだよ。後輩は時間の30分前に集まらないといけないっていうのは常識だろ。」

先輩の常識と俺の常識は異次元レベルで違うらしい。

少しいらついたので、言い返す。

「そんなにいつも怒ってたら、誰もよりつきませんよ。」

すると顔を真っ赤にさせて激昂する。どうやら図星だったらしい。

「てめぇ。なめてんのかぁ!私に誰も寄りつかないのはな、わ、わたしの魅力がすごいからだ。」

自分で言っておいて、恥ずかしくなったのか涙を浮かべている。

この人は案外、口げんかが弱いのかもしれない。

「そうですね。先輩は魅力的ですもんね。」

からかった口調で言うと、怒りと恥ずかしさが混じったすごい表情をしながら胸ぐらをつかんできた。

「まあまあ、理蟹さん落ち着いて。話が進みませんよ。」

間遠先輩が割って入ってくる。

「そうだな....。今は我慢してやるが、後で覚えてろよ...。」

俺を鬼の形相でにらんだ後、目をつぶり深呼吸をする。

「はぁ...。こいつらには情報共有ということで、昨日のお前が話したことを録音機できかせた。」

あの話、録音されていたのか。

「相棒!お前がおかしい原因おれが調べるぜ!」

富田よ。お前だけにはおかしいとか、言われたくないのだが。

ん?富田の丸刈りの頭の上になにかが乗っている。

「おい。頭の上に乗ってるそれはなんだ?」

「知らないのか?相棒!モヒカンだぞ!」

「は?富田、お前昨日丸刈りじゃなかったか?」

「なに言ってんだ!オレは年がら年中モヒカンヘアーだぜ!」

「富田君。頭髪服装検査にひっかかりますよ。」

間遠先輩が優しく注意する。

昨日どう見ても富田はまるがりだったよな。それとも俺の勘違いなのか?

「おい、お前ら!話がそれている。無駄話は後にしろ。コホン。........とりあえず今日は、3日前ぐらいに大きく磁場が乱れた場所を探索する。そこに磁場を乱す原因が、あるだろうからな。」


その場所は、学校から700メートルぐらい離れたところにある、鉄製のフェンスで囲まれた大きな荒れ果てた敷地だった。今はおそらく誰の所有物でもないようだが、以前は立派な豪邸が建っていたに違いない。

「なんだこれ!大きな土地だなぁ!すげえなあ!」

富田の中身のなさそうな感想を聞きながら、探索を開始する。


開始してから一時間が経過したが、なにも成果がでない。

「うーむ。なにもないな。」

「理蟹さん。ここで一時休憩をとりましょう。」

「そうだな...。お前ら!いったん休憩だ。」

はぁ...。疲れたなあ。

「はあー。」

ため息をつきながら、鉄製のフェンスに寄っかかる。

「疲れたな!相棒!」

富田は大きな声で元気よくそう言った。

どっからその元気はでるんだよ。


ふと、寄っかかっているフェンスに目を落とすと熱で溶けた後を見つけた。

ものすごい高温にさらされないと、こうはならない。

だが周りを見わたしてみてもそれほどの熱源となるものは見つからない。

なにかがここで燃えたのか?

フェンスをつかんでいた手には、真っ黒なススがついていた。

















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