第4話この世ならざるもの
4月22日(土)の朝
ジリリリリリリィーー
~8時ジャスト~
昨日と違い、早く起きることができたおかげなのだろうか。俺の頭の中はすっきりしている。
今なら、多少の意味不明なことでも快く受け入れることができるだろう。
まぁ、要は心の持ちようだ。たとえ、化け物がでてきても隕石が降ってきても同級生がいきなりグレてもなんとかなるだろう。プラス思考を振り切って、悟りの境地にたどり着いた感じがする。そんなことを考えながら、通学路を歩く。ふと前方を見ると、遠くに俺の方を向いている人影が見えた。ん?富田か?あいつも昨日のことから学んだのか。
自慢の視力を活かして、その人影の正体を確かめる。
富田ではなかった。
だが、見覚えがある顔だった。
二日前に見た、魔法の本みたいなものを持ちながら運動場を走り回っていた変態だ。
なぜ、俺の方を見てるんだ。関わりたくねぇー。
だが、変態のために遠回りをするのも癪なので、進路を変えず進んでいく。
俺と変態のきょりが5メートルぐらいに、なったところで
「こんにちはあー」
と話しかけてきた。
構わず進む。
「ひどいなぁー。無視するなんて」
なんだこいつは。
「残念だなぁー。君の周りで起こっている”意味不明なこと”について、話したかったんだけどなぁー」
俺は一瞬、その言葉に足を止めかけたが中二病患者の戯言だろと思い直し、変態の横を通り過ぎる。
学校に着くと、なぜか人が一人も見当たらない。
あれ?今日休みだったっけ?という疑問が頭に浮かんだ。
その疑問に答えるかのように、俺の後ろから声がした。
「今日休みだぞ。休みの日にも学校に来るとは相当暇な奴だな。」
振り返ると、白衣をまとった理蟹先輩がいた。
「ていうか昨日の体調不良は、直ったのか?」
「はい。直りました。」
「そうか、なら私の研究の手伝いをしてくれると助かる。」
帰って寝たかったのだが...。
「まぁ手伝いと言っても、私が開発したものを試してくれるだけでいいんだ。」
試す...?不吉な言葉に顔を引きつらせながら部室(昨日行った部屋)へ向かう。
昨日は気づかなかったのだが、部室のドアにはオカルト研究部と書かれていた。
部室に入ると、理蟹先輩は方位磁針みたいなものをわたしてきた。
「これはなんですか?」
「フッ。これはな、空間の歪みを見る装置。名付けてユガミル試作機だ。」
「ユガ....ミル..?」
「ああ。私は霊的なもの、あるいはこの世のものではないものを観測するために、それらを科学的な面から研究しているんだ。」
それって、高校生ができるような研究なのか?
「ちなみにユガミル試作機のコンセプトは、”手軽にこの世のものではないものを観測しよう”だ。ものは試し、使ってみてくれ。」
方位磁針みたいな構造をしている。
「緑のボタンを押した後、この赤い針が向いた方向に空間の歪みが強い場所がある。」
緑のボタン押してみる...
すると、くるくる赤い針が回転した後に、俺がいる方向をさしてとまった。
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