第3話混乱

4月21日(金)の午後

富田以外はいつも通りであり、何事もなく昼休み、午後の授業に続き帰りのホームルームが終わった。部活生は今から活動を始めるのだが、俺はどこの部活にもまだ所属していない。

よし。帰ろうか。今日の晩飯は焼きめしあたりで手を打とう。などと考えながら教室を出ようとすると、富田がいきなり俺の肩を掴み

「おい。部活初日だぞ。さぼんなよ。」

などという訳がわからないことをほざきやがった。

部活?俺は部活になど入っておらず帰宅部なのだが....。

「この学校には公式の部活として、帰宅部が認められているのか?」

と聞くと富田は

「訳わかんねぇこと言って、はぐらかすな!てかもう4時27分じゃねえか。早く部室行かねぇと!初日で遅刻とかやべえよ。」

と言いながら、俺の手首を掴みどこかへ引っ張っていく。

もう意味不明すぎるので、考えるのをやめた。

2階上に上がって廊下をまっすぐ進み、学校の端っこの小さな部屋の扉の前に来た。

なんだここは。

富田が大きな声で

「失礼するっす。」

と言いながら、戸惑う俺を部屋へと引き込む。

小さな部屋の中には、白衣を着ており背丈が低い女子生徒(ゆるふわ系だ)と古めかしい本を読んでいる男子生徒(イケメン野郎)がいた。もう何が何だかわからない。俺の脳の使用率は200パーセントを既に超えている。これ以上は頭が爆発する。助けてくれ。

白衣の奴が俺たちに近づき、その容姿からは想像できないような言葉を放つ。

「お前ら。おせぇんだよ。なめてんのか?もう始まってんだよ。ラットの代わりにお前らを実験に使ってやろうか?」

俺たちが何も言えず黙っていると

「ま、まあまあ落ち着いて。そんなこと言ったらまた新入部員いなくなりますよ。」

とイケメン野郎が割って入った。

「遅れたこいつらがわりぃんだろ?なんで私が悪いみたいになってんだよ....

まぁ、そうだな...とりあえず早く席に座れ。」

俺と富田は言われるまま、席に着く。

「一回だけしか言わねぇから、良く聴いとけ。私の名は理蟹 恋(りかにれん)。この格好を見てくれればわかると思うが、研究が趣味だ。よろしく。」

「僕の名前は間遠 要(まどうかなめ)です。僕は主にオカルト系の研究をしています。これからよろしくお願いします。」

「おっおれ!富田 猛(とみたたける)っていいます!なんか実験ってかっこいいなと思って、実験部に入部しました!よろしくっす先輩!!」

「よろしくお願いします。一緒に研究に励みましょう。」

「...よろしくな。」

続いて俺の自己紹介の番になった。

「始めまして。○○ ○○って言います。えっとよろしくお願いします。」

俺の頭の中、自己紹介どころじゃないんだよ。何が何だかわかんないんだよ。

「顔色悪いですね。どうかしましたか?」

「風邪か?流行ってるからな。うつすぐらいなら帰れ。」

「相棒大丈夫か?」

三人の心遣いをありがたく受け取り、帰ることにした。

帰り道、俺は今日の出来事を確認してみた。

富田がおかしくなってたり俺が部活に入っていることになってたり、無茶苦茶だった。なにが原因なのだろう。俺は記憶喪失なのだろうか?それともこの世界がおかしくなっているのだろうか?まぁ後者である可能性なんてゼロに等しいだろうが...

ああ、俺はどうしちゃったんだろう。

晩ご飯はカップ麺で済ませ、早めに寝た。

明日は変なことが起きませんように。















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