二三 池袋・公園 参

「それで、おまえを残してお母さんは求道会と行っちまったのか」


「うん……」


 叔父の言葉を朱理は肯定した。スピーカーから気を取り直すように息を吐き出す音が聞こえる。


「ったく……とにかく合流しよう。今からそっちに向かう」


「うん……おじさん、ごめんなさい……」


「何で謝るんだ?」


「だって、わたし、何もできなかった……お母さんが連れて行かれるのに……」


 幾度となく味わった無力感が心を満たしていく。


「何もできなかったんじゃない、お母さんが何もさせなかった・・・・・・・・・・・・・んだ。叔父ちゃんだって、朱理と同じ状況なら何もできないよ。相手は求道会じゃなく、お母さんだからな。

 それに心配はいらない。と言うより求道会はお母さんを連れて来たことを、とっくに後悔してるさ」


 叔父の言葉に少し心が軽くなったが、問題は何も解決していない。そして朱理が思っている以上に状況は悪い方へ転がっていくのだった。

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