二三 池袋・公園 壱

 真藤朱理は人気の少ない公園で、スマホに耳を当てていた。


  おじさん、早く出て!


 コール音が続く、と言ってもわずか二、三回だが、彼女には何時間にも感じられた。


「朱理、どうした……」


 悠輝の声を聞いて思わず涙ぐみそうになる。


「お母さんが、求道会の人たちに連れて行かれた!」


 わずかに沈黙があり、叔父の緊張が高まるのを感じた。


「そうか……詳しく話して欲しいが、その前に深呼吸をして」


 そんな場合じゃないッ、と言い返したかったが、自分が動転している自覚があったのではやる気持ちを押さえて叔父の言葉に従った。深呼吸をすることで気持ちが幾分落ち着く、朱理は順序立てて母が求道会に連れて行かれた状況を話し始めた。

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