一六 プロダクションブレーブ
パパラッチ?
ブレーブの誰かのスクープを狙っているのだろうか。心当たりは数名いる。それほどメジャーなタレントを
でも、何かおかしい……
ブレーブを監視しているのは間違いないが、違和感を感じる。ストーカーだろうか? いや、それも違う。
「どうしたの早紀ちゃん?」
社長の中川好恵が彼女の様子に気付いた。
「不審なクルマが事務所のそばにいます」
「パパラッチかストーカーかしら?」
好恵も窓際に近づいてくる。
「どうでしょう……」
好恵は窓から一瞥すると、自分の席に戻った。
「また、面倒なことが起きそうね。せっかく、仕事にかこつけてハルちゃんが刹那を鬼多見さんのところに連れて行ってくれたのに」
「だから、起るのかもしれませんよ」
好恵は口をへの字に曲げた。
「まぁ、仕方ないわね。放って置いても、あの子には厄介事が近づいてくるから」
毒をもって毒を制す。しかし、相乗効果で何倍も面倒になる可能性だってある。早紀にとっては刹那も悠輝も親戚みたいなものだ。二人には幸せになって欲しいが、どうしてもあの二人が平穏に暮らしている姿を想像できない。
あの不審な車が、パパラッチやストーカーであることを思わず祈りそうになり、自分を戒める。
毒を食らわば皿までだ、覚悟を決めて対処するしかない。
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