愛する隣人達へ

いたち屋

隣人より、隣人へ

 拝啓、とかから始めればいいのでしょうか。

これは手紙なのか少し分かりませんが、挨拶をさせて頂きます。

こちらはそれなりに生活しております。

ここ最近あまり個人的な人付き合いがなく、少々寂しく思ったためこのような物を書かせて頂きました。

そちらはいかがお過ごしでしょうか。


 もしかしなくても、これを読んでいるあなたは私のことなど知らないでしょう。

私もあなたのことは分かりません。

ええ、全くと言ってしまっていい程に。

顔も、声も分かりません。

それでも私はあなたがちゃんと存在しいることは知っています。

空想のお話などではなく、ちゃんと今を生きていることは分かります。


 私思ったんですよ、なんだか一人でいると孤独感がしますけど何処かで私のことを考えてくれる人がいたらすごく幸せなことだって。

私はあなたのことは何も分かりませんが、あなたを想うことは出来るんです。


 どうでしょう、元気でしょうか。

何か楽しいことはありましたか、あなたが笑顔になれることがあると私は安心出来ます。

辛いことや悲しことはありましたか。

私もあなたも年を取りましたから、昔よりずっと成長してますし。

私昔は泣き虫だったんですけど、今ではあまり泣かなくなりました。

あなたは、泣きたいときに泣けていますか。

あなたはきっと頑張り屋ですから泣くのを我慢していないか心配です。

泣いたり、歌ったり、踊ったり、スキップしたり昔は外だろうと何でも出来たんですけど、今じゃ難しいですから出来そうなときにやってみると案外気持ちが楽になりますよ。

私が単純なだけかもしれませんけど。

電車の窓から線路のねこじゃらしとか見ると何だか楽しくなるんですよ。

なんでですかね、私も理由は知らないんですが。

それを先輩に言ったら、ねこじゃらしなんて久々に聞いたって言われました。

綺麗な雑草とか花壇のお花とかあんまり気にしなくなってるらしいですね。

あなたはどうです、ゆっくり歩いて景色として眺めたりしますか。

あまり同じ趣味を持ってる人が居なくて寂しいです。

是非やってみてください。

それとその時気になった草木とか何でも教えてください。


食事とか、おいしく食べられていることを願っています。

隣人より。





 

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