第2話 戻ってきた現実世界

 目を開けるとそこには星空があった。


 若干ダルさを感じながら体を起こすと、目の前の白の車から血相を変えて、人が下りてくる。


 「       」


 口を動かしているのはわかるが、混乱しているのか声が出ていない。いや、の耳がおかしいのか?


 周囲をみると人気のない見慣れた帰り道。どうやら死ぬ前の状況に戻ったみたいだ。


 変な夢をみたが運がよかったみたいだな。どこも痛くないし、目に見えたケガもない。アドレナリンぶっぱで痛覚がマヒしている可能性はあるが。


 私を轢いたのだろう4~50代男性はまだ混乱しているようなので、私が動かなければなるまい。えーと、こういうときはまずは……。


 ポケットからスマホを取りだす。


 「もしもし、警察ですか?事故です」




 夜間救急で診てもらったが、異常は診られなかった。とはいえ、加害者側から不安なので入院をということで2日間、相手持ちで入院することになった。そして、職場からも念のためということで今週いっぱいは休みになった。入院期間を除いても4連休だ。


 久しぶりの我が家に帰ってみると、机の上に身に覚えのない封筒と便せんが置いてあった。


 ≪これは君の隣の部屋の鍵だよ。そこに【DTL】プレイの準備が出来ているから使ってね。あ、隣の家賃、光熱費、あとゲーム料金は要らないから≫


 ……そうか、夢じゃなかったのか。


 【DTL】は世界唯一のVRMMOとして3年前にリリースされた。以前からVRは注目されてきた分野ではあるが、なぜか他の作品が出ることもなく、何も情報が引き出せないため、現代のオーパーツとネットで見かけた気がする。ハード50万円、プレイ月額2万円と金もかかるため、地方一般庶民の私には手が出なかった


 とはいえ、ちょっと調べたぐらいでは、不満らしい不満を見かけたことがないほどの作品で、プレイしてみたいとは常々思ってたのだ。


 ドッキリなんじゃないかと意味不明の不安を抱きながら、アパートの203号室のドア鍵を開ける。


 「おじゃましまーす……(小声)」

 

 1Rルームのそこにはお目当ての、近未来的なまん丸いベットが中央に存在していた。


さて、ここから私の冒険が始まるのだ。


 唾を呑み込めないほどに緊張で口の中は乾燥していた

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強制VR?MMO トースター @araisemihito

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