第6話

 次の日からはいつ来てしまうのか心配で朝から緊張感が私の胸にはあった。私はハルくんと遊びたくないという思いはなかったけれども自分の時間というのもあるため思いもよらぬところで来てしまうということが心配の種だったのである。


 一日の大半を過ごしてもハルくんの声を聞くことがなくて逆に何かあったのではないかと心配になって外の様子を何度も窺った。しかしハルくんを含めた近所の子達の姿は今日はない。何か違った用件があって遊んでないと考えるのが私の思うところだった。明日は訪問してくるのかなと少しの期待と少しの心配があった。


 翌日もその翌日もハルくんが私の家に遊びの誘いに来ることはなかった。私の家の周りの住宅街を子供たちが走り回っているのは事実である。そこにハルくんがいるのかどうかは正直分かったものではないが、いると思われる。


 執拗なくらいに遊びに誘ってくるのではないかと最初私は思っていたし父も同じ意見だったが、実際にハルくんと出会った日から三日経っても誘いに来ることはなかった。


 私が思うに一度父から断られたということが彼に私と妹のところに来るということを断念させることがあったのだろう。


 それから一週間、二週間と時を過ごしてもハルくんが来ることはなかった。やはり何かがあって来るということをやめたのかもしれない。

 

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