第5話
次の日、特に何ら変わりのないはずの日常にひょっと非日常が表れた。お昼を食べ終えて少しゆっくりしていると外から聞いたことのあるような声が聞こえてきた。
「ナナミちゃん、遊ぼ!」
どう考えてもこの声質と言葉遣いはハルくんしか考えられなかった。恐る恐る窓からちらりと覗いてみるとそこにはやはりハルくんが立っていた。
遊んだ当日は待っていないかと心配していたが、さすがに翌日も来るなどとは想定外だったのでどうすべきかと対応に迷った。第一妹は今日出掛けていていないしここで出ていったら遊ぶことは間違いない。だからこの対応はこのあとに大きく響く大事なものなのだ。
私があれこれ迷っている間に洗濯物をしまっていた父が
「今日、ナナミはいないんだよな。ごめんね。それとお姉ちゃんは勉強忙しくて無理みたい。」
と言って解決させてしまったが、父の言葉には余計な情報も入ってしまっていた。どちらがナナミであるかを示している言葉である。
私の葛藤とは裏腹に父の善意の籠った一言でその場を凌ぐということは出来たども今後の心配が大きい。父もそれは言っていてしめたといってまた来るね、という話だった。本当にその言葉の通りでハルくんが毎日このように来てもおかしいとは思えないのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます