第32話

※悠斗視点


やっぱり、あいつは浮気してた!澪さんがいながら他の女子と休日丸々過ごすなんてありえないだろ!


イケメンはいいもんだなぁ、澪を仕留めてもその裏では女をとっかえひっかえ。もしかして澪の金目当てで付き合ってたりすんのか?クズでゴミカスだ。


才能だけで人生イージーモードですか、来世は地獄に落ちとけ。


証拠の写真だってある。これを突き付ければもう二人は終わり。あの感情のない鉄仮面がどう崩れ去るか想像するだけで快感だよ。


澪の代わりに一発顔面に叩き込むのも良いなぁ。いや、それは海に頼ろう。大会でなんか相手の骨に罅入れたとか言ってたしな。


大学が始まる月曜日。その日にしよう。特別な日じゃなくていい。俺が歩きだすのにはちょうどいい。


俺の恋が叶うこともなく、破れさっていることは知っている。





俺は優等生だった。運動も勉強も平均以上にできた。そのおかげか性格も歪まず実直に生きてくることもできた。


色はあまりなかったかもしれない。けれど、原色ほどの数の少なさで満足できていた。


俺の賢さは客観視だ。


空気を読み、立ち位置を考えて周りに合わせて動く。これは勉強にも、スポーツにも応用できた。無理はしない。ただ可能かを見極め、可能への努力を積めばいい。


恋は脳のバグらしい。恋は盲目とも言うし、彼女のができて明らかに性格は変わったやつも知っているから心にストンと落ちてきた。


恋は俺の賢さをバグらせてはくれなかった。俺の感情も、身体も狂わせていたのに。


賢さは訴えた。澪とお前をが付き合うことはない、毛程の可能性すらもない。これ以上お近づきになることもありはしない。有象無象として終わり、蠅のようにうっとうしい存在になりたくないのなら諦めろと。


最初から気づいていた。


会話をしてもその距離を感じる。浮気相手を調べるのも都合良く使われていたのも。俺のご飯も何の変哲もない繁華街にある居酒屋に入って勘違いされないようにしていたのも。


俺の賢いからさ。全部見えちゃってるんだよね。ただの浮かれてるバカに見てたかもしれないけど。


やっぱり酒の力を借りて、玉砕しようとして失敗した奴だからバカの認識でいいです。


告白ぐらいすれば一人の人間として見られるって思ったのも俺の幻想なんだろうし。


俺の人生に濃い緑が澪さんに彩られただけで嬉しうです。


澪さんの人生は何色に変わりますかね?俺の行動によって。


華々しく散るより、爪痕の方が長く残ってくれそうですから。俺からのお茶目な仕返しです。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

深く深く愛したい カワウソに恋した子 @23572357

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ