第30話
※澪視点
数日前
「は!?浮気を放置してる!?」
「そうだよ~」
「私だったらぶん殴ってるわ。てか何のほほんとしてんのよ!」
怜が周とお出掛けにいくことが増えたので久しぶりに女子会だ。相手は怜のことを話題に出した子である。
長い付き合いで何でも言えるし、秘密も守ってくれる。女子で秘密を守ってくれるのは評価が高い。同じいわゆるお嬢様学校出身で色々互いに抱えていることも分かっているからかもしれない。
「大丈夫、もう少ししたら落ち着くから」
「え、修羅場が?」
「違う、違う。円満にきっと別れてくれるから」
そのために周の元カレに写真も送り付けたし、それでも別れなかったら周の友人たちに送ってやればいい。浮気中とかテロップを貼って。
「けどやっぱイケメンはクズだね。付き合うならイケメンは必須だけど!」
もはや矛盾の域だ。まぁ、けど怜もそれだとイケメンでクズになるのか。
「イケメンはダメ。やめといた方がいい。というかそもそも付き合ったことないでしょ」
「そんな私にも分かるぐらいあんたは重い。あんなにあの冷徹イケメンにハマるとはねぇ~。それも浮気を許すぐらいだもんね」
浮気は仕向けた言ってもいいぐらいだから許して当然。ちょっとつらかったけど。
「付き合う前から重さ全開だったけど変わんなかったか~。私とのデートも減っちゃうし、それに裏で浮気相手になんかしてるんでしょ」
コーヒーを飲もうとしていた手が止まり、咄嗟に顔を向けてしまった。
「なんてね~。火遊びぐらい許してあげるのは大人の女だよね~。このチーズケーキおいしいっ」
ふぅ、勘が鋭いかと思ったら脊髄で話してるだけだった。
「ねぇねぇ、ネトストやめた?趣味とか調べるのやめた?昔の知り合い探して癖とか卒アルとか見せてもらったこと覚えてる?」
「す、ストップ。もうそれ以上喋らないで。お願いだから。・・・ここおごるから」
したり顔はまだ続けてきた。
「女子校時代にお姉様と慕われていたあの澪さんがねぇ~。あんなことするなんてねぇ~。座学も運動もできた完璧無欠の澪様があんなに恋愛弱者とはねぇ~。キャキャキャ」
手を叩いて何もない壁を見ながら、キャキャとわざとらしい笑い方をするしたり顔。中高大と今初めてこの女と縁を切りたいと思った。
「処女は黙ってくれる?」
「な・・・そ、それを言葉に出すのはズルじゃない」
明らかに顔色が変わる女だ。中高とぬくぬくの女子高&お嬢様学校だったせいで下ネタへの耐性はゼロ。怜と出会っていなければ私だってこうだった。ちょっとした恥かもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます