第6話






 背中に黄金色に輝く太陽を受けページを捲る。怜を思いながら、追うようにしてまた一枚また一枚とページは翻る。


 澪の耳のそばで揺れるイヤリングは太陽の光を図書室中に反射させる。後光を感じ他の者は静粛に図書室を利用していく。


 怜が私の講義の終わりを待つのだから、私が待つ時だってある。その暇な時間は私は怜の真似事をするみたいに本を読む。


 空に紫雲がかかり始める頃、


 怜が来ない。


 いつもなら手を繋いでもう外に出ている頃だ。連絡が来ていないかとスマホを見るが音沙汰なし。元々、怜はこまめに連絡をしないタイプだから予想通りだ。メールを送ったとしても即効性がないので見送っておく。


 すれ違いにもなりたくない。待とうと本を開いたときスマホに通知が来ていた。


 怜からではなく悠斗からだった。


 この人ですか?とその下には写真が送られている。


 その写真には五人ほどが写り、満面の笑みで片手には飲み物がなみなみと入っている。全員が澪目線でビッチと呼ぶには、ふさわしい邪魔らしいフリフリの肌の大部分を露出した服装になっていた。


 一人だけその満面の笑みの顔を赤く囲まれていた。ビンゴっ。スマホの前で指を跳ねさせる。


 スポン、スポンと追加情報が送られ、頭の中へ次々インプットしていく。


 中々使えますね、悠斗くんは。はっきり言って期待なんてしていなかった。昨日の今日で情報不足の中お目当ての人物を見つけるとは。流石と言ってもいいぐらいです。


 使えるものはなんでも使う主義なので。せいぜい利用させてもらいましょう。


 ・・・その好意も。







:::::::







※周視点


 退屈な教授の話は終わり、気怠けだった空気は達成感、開放感に変わっていく。


「おーい、れ・い・く・ん?」


 その他の生徒と同じように講義室を出ていく怜を呼び止めた。


「ちょっと手伝ってもらっていい?」


「え・・・「じゃあ、レッツゴー!悩むぐらいなら行こうよ」


 私は怜の手を両手で掴み強引に目的地に連行していく。怜が断らないことは計算の内だ。あの女に連絡は絶対にさせない。怜は顔に戸惑いを浮かばせ、前につんのめりながらも足を回転させ私についてきた。


「私、これでも料理サークルに入ってましてね。怜くんの体を借りたいんですよ。ヒヒッヒッ」


「笑い方が怖いよ」


「はい、到着っ!」


 行先は調理室。もう良いにおいが漂ってきている。


 だが怜はこの匂いで検討がついたのかすこし顔をしかめた。逃がしわしない。


「席に座ってもらって。激辛料理を一緒に楽しみましょう~イェーイ!!」


「いぇ~い」


 怜は控えめに手を挙げながら同調してくれた。こういうの合わせてくれるとこ好きです。


 大学の文化祭、大学祭が二か月後に迫った。料理サークルは週二~一回しか活動しない。その緩めな感じがいいのだが文化祭関連では本命の方に駆り出されてしまうので先々に決めておくのだ。


 開催は十一月。いい感じに寒くなってくるころだ。ということで激辛料理だ。激辛料理しかない!!


 

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