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ユウトはあたしのリクエストに応えて、次々にポーズを変えてくれた。
それにしても、見事な肉体だ。惚れ惚れしてしまう。
鉛筆をスケブの上に走らせながら、あたしはユウトの体に見とれていた。
いつしか、時計の針は0時を回っていた。
「こんなもんかな。よし、終わり。ユウト、協力ありがとう」
あたしはユウトに笑いかける。
「そんな……いいって。大したことしてないし」
「いや、大したことだよ。普段、男の裸の上半身なんか見る機会全くないからさ」
「あおい……彼氏、いないのか」
クリティカルヒット!
「う、う、うるせえな! だからどうだってんだよ!」
「いや、結構美人なのに、いないのかな、と思ってさ」
え……?
あたし、美人って言われた……?
ヤバい。顔が赤くなっちまう。
だけど……実は、あたしにも自覚はあった。
自分でも割と整った顔立ちだと思う。実際、今まで三人の男に告られた。その内の二人とは、あたしもOKして付き合った……のだが……
深い付き合いになる前に、あたしの言動とマンガ描きっていうオタク趣味にドン引きされて……それっきりだ。
でも……ユウトは、昔からあたしの男言葉になじんでいた。それに……マンガ描きにも理解を示してくれそうだ……
「そういうユウトは……どうなんだよ。彼女とか……いるのか?」
「彼女はいないけど……好きな人はいる。片思いだけど」
いるのかよ……
「でも、その子には彼氏がいるんだ。だから……僕は……」
「好きだったら、奪っちまえばいいじゃねえか」
「僕がそんなことが出来るような人間だと思う?」
「……思えない。でもさ」
「でも?」
「あたしは……ユウトのそういうとこ……嫌いじゃない……」
「……」
ユウトは顔を赤くして下を向いてしまった。
あ……
なに、この甘酸っぱい雰囲気……
しかも、今気づいた。
あたしとユウト、こんな真夜中に、部屋で、二人っきりだ……
それに、ユウト、上半身裸なんだけど……
……。
ユウト、あたしのこと……美人って、言ってくれたよね……
あたしも……ユウトなら……
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