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 結局、「ユウト」はあたしに付いてきた……いや、憑いてきたというべきか? とにかく「彼」はあたしの高校にやってきた。教室の自分の席で授業を受けているあたしの、斜め上の空間に浮かんでいるのに、誰もそれに気づかない。


 そもそも、こいつはいったい何者なんだ?


 一応、あたしの中では「ユウト」はイマジナリー・フレンドということで結論が出たはずだ。そして、イマジナリー・フレンドは文字通り想像の産物でしかない。しかし……それにしては随分存在感がある。こういうリアルな幻覚を見るってことは……もしかして、あたし、統合失調症ってヤツになっちまったのか?


 なぜ?


 心当たりがあるとすれば……そうだ、確かに、あたしには最近一つ精神的にショックな出来事があった。


 あたしは子供の頃からマンガ好きで、中学生から自分でもマンガを描いている。そして、あたしはある少女マンガ誌の新人賞に会心の作を送ったのだ。昨日発売の今週号にその結果が載っていた。


 惨敗だった。


 「もうちょっとで入選」ってのにも入ってない。がっくりだった。


 自分の最高傑作のつもりだったんだけどなぁ……


 とにかくそれ以来、あたしは少し落ち込んでいる……けど……


 これ、統合失調症になるほどショックだったのか?


 自分ではそんな自覚がないんだが……


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