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幸いにして、僕の家のすぐ近くにファストファッションの店があったので、閉店間際、駆け込みで彼女は買物を済ませることが出来た。しかし彼女の今のバストに合うサイズのブラジャーは安い物にはなくて、結局少々高めの製品を買うしかなかったようだ。
「しかしさぁ、お前って、僕の想像の存在なんだよな?」
帰り道。僕はあおいに問いかける。
「だから?」あおいが僕を振り返る。
「いや、それにしては、僕の知らないことまで知ってたりするからさ。本当に僕の想像の存在なのか? って思っちまうよ」
「あたし、実は自分でオリジナルのマンガ描いてんだよね。将来マンガ家になりたくてさ」
「……はぁ?」
いきなり話がわけのわからん方向に飛躍した。
「もちろん自分でストーリーも考えるんだけど、その中でキャラクターがさ、勝手に動くことがよくあるんだよ」
「勝手に動く?」
「うん。あたしの想像の中で、勝手に動く。全然あたしの思い通りにならなくなったりすることも結構ある。あたしが想像したキャラクターなのに、だよ」
そんなこと、あるんだろうか……マンガなんか描いたことないから、わかんないな……
「あたしは時々思うんだ。あたしはあたしのマンガのストーリーを自分が想像したものだって思ってるけど、実は世界のどこかで実際に全く同じ事が起こってて、あたしはただそれをキャッチしてマンガに描いてるだけに過ぎないんじゃないか、ってね」
それ、電波系、ってヤツか……?
「だからさ、あんたもあたしを自分の想像の産物だって思ってるんだろうけど、ひょっとしたら世界のどこかであたしは本当に実在してるかもしれないんだよ。てか、今実在してるしね」
うーん。
また、よくわかんないことを……
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「やっぱ高級品のブラって、付け心地違うな」
風呂上がりの上気した顔で、あおいが言う。
彼女は僕のジャージとTシャツに着替えていた。今の彼女は178センチの僕と並んでも身長がほとんど変わらないのだ。その上メリハリのきいた体付きで、グラドルと言うよりはむしろスーパーモデルに近い。それはジャージの上からも十分にうかがえた。
「ふうん」
僕はあえて関心がないように装う。
「見てみたいか?」
言いながらあおいは、ニヤー、と嫌な感じの笑顔を浮かべる。
「いいよ。死にたくない」
「……面白くないヤツだな」
あおいは肩をすくめた。
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