第24話 僕の幼馴染の誕生日パーティー(中編)
真澄の誕生日パーティーは和やかに続く。真澄も皆も楽しそうで、呼んでほんとに良かった。
「そうそう。中戸の誕生日プレゼントだけどよ。これ」
がさごそとバッグから取り出したプレゼントを真澄に差し出した。少し、大きいな。
「あ、私と正樹の連名だからね」
「まあ、俺だと中戸のプレゼントはよくわからなかったからな」
「あんがとさん。開けてもええ?」
「ああ」
出てきたのは、小型のホワイトボード。に見えるけど、スイッチが付いてるような。
「ホワイトボードに見えるんやけど。このスイッチみたいなんは?」
「電子ホワイトボードって奴なんだけどよ。書いた奴をスマホに送っておけるんだとよ」
「なんや、今時っぽいな」
「夫婦で共有するメモに便利かなって思ったんだけど、正樹がデジタルなやつにしようって言い出してね」
「なるほどね。残しておきたいことはあるかも」
「電子の部分は使わなくてもいいから、よかったら使ってみて」
「あんがとさん。せっかくやし、使ってみるな」
朝と夜は一緒にいることが多いけど、講義の時間が違ったり、買い物に行ってたりすることはあるから、活用できるかもしれない。ありがたく使わせてもらおう。
「じゃあ、私もプレゼントです。はい」
同じくバッグから、何やら取り出しているけど、今度は逆に薄いような?
「なんや、薄いな」
「ちょっと喜んでもらえるか、自信はないんですけど」
包装紙、というより、封筒のようなそれを開けると、中に入っていたのは1枚のチケット。
「UKJペアチケット宿泊付き?」
それは、大阪にある有名なテーマパークのペアチケットだった。しかも、テーマパーク側のホテル宿泊券までついている。
「せっかくですから、夫婦で旅行に行ってもらえればと思いまして。それで、確か真澄先輩の出身が大阪だって思い出したんですよ」
気持ちはありがたいし、一度行ってみたいとは思ってたんだけど。
「これ、結構高かったんじゃ?」
「そこまででもないですよ。最近、バイトもしてますし」
なんでもないことのように言うけど……
(コウ、ここで遠慮したら、ナツが落ち込むやろ)
(あ、ああ。確かに)
「ありがとう。また、長期休みにでも行くよ」
「ありがとな。ナツ」
「はい。楽しんできてください」
そういえば、奈月ちゃんが料理部に入ったばかりの頃、高額な器具を自費で買おうとした逸話を思いだした。せっかくの気持ちだし、ありがたく使わせてもらおう。
しかし、なんか、真澄へのプレゼントというより僕達二人へのプレゼントって風になっちゃってるな。結婚したばかりってことを意識してのことだと思うけど。
「じゃあ、僕からは、これ」
箱に入ったプレゼントを手渡す。箱を開けると、中にはいっていたのは、やけに作りのしっかりしたハリセン。
「ハリセン?」
「せっかくだから、僕へのツッコミに使ってもらえればな、と」
「なんでそこで受け狙うねん!?」
早速、プレゼントしたハリセンではたかれた。実は、本命のプレゼントは別にあるんだけど。
「コウだけ、なんかあれやけど、皆ありがとな」
ジト目で睨まれるけど、後で名誉挽回するので、どうか許して欲しい。
プレゼントも手渡したし、用意した食事も綺麗になくなったし、そろそろお開きかな。
「じゃあ、そろそろ私達帰るね」
「今日は楽しかったわ。また、いつでも来てなー」
「また、遊びに来ます!」
そんな事を言って、皆は帰っていった。後に残されたのは、僕と真澄の二人。
さて、ある意味ここからがいよいよ本番だ。
※後編に続きます
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