第6話 難病はツラいよ。
男はツラいよという映画があります。
主題歌の1節に。
奮闘努力の甲斐もなく。
今日も涙の、今日も涙の日が落ちる。
という歌詞がありますが。
ALSこと筋萎縮性側索硬化症・SMAこと脊髄性筋萎縮症・SBMAこと球脊髄性筋萎縮症に代表される運動ニューロン病では、トレーニングやリハビリは、やり過ぎると、かえって逆効果になりかねません。
これらの難病では、筋肉を傷つけると修復できなくなっていますので、筋肉痛になるほどのトレーニングは、わざわざ筋肉を減らしているようなものということです。
こんな基本的な知識は、ネット検索で出てくるのですが、それを信じずに、やってしまわれる方を沢山お見受けしました。
前向きなのは、悪いことではありません。
しかし、医学で解明されていることを無視しても、良い結果が出ることはありません。
そんな当たり前のことをわからない患者は、意外と多いです。
で、そんな患者ほど、突然の病変に対応できずに、あわてふためいてしまわれるのです。
当然ですよね。
トレーニングとリハビリしていれば、難病の進行を止められるか、そこまで思ってなくても、遅らせることくらいはと考えて、何の準備もされておられないのですから。
筆者の考えでは、患者の病気の特性と病状によって、しっかり計画を立て直して、強度を考え直すことができる理学療法士さんの指導の元に、準備とリハビリを平行するのが最善の方策と考えます。
できることなら、主治医とかかりつけ医師と病院看護師の担当者と訪問看護師にも入ってもらって、チームで方針を考えていただいて実行するのが一番ではないのでしょうか。
ところが、チーム医療と言いながら、そんなチームを組んでもらうことのできる患者が、なんと少ないのでしょう。
チームの主軸は、当然主治医とかかりつけ医師になるのでしょう。
病院看護師と訪問看護師の連携によって、患者の病状変化を把握して、リハビリに活かす。
場合によっては、福祉用品店まで巻き込まなければなりませんので、ケアマネは最初から参加している方が、より良い方策ができると思いますが。
筆者の場合、それに障害福祉コーディネーターまで加わって、リハビリも、理学療法士だけでなく、作業療法士と言語聴覚療法士まで加わって、大きなチームになってしまいました。
最近では、保健所の保健師さんまで加わって、超大型療法チームになりました。
筆者が希望して出来上がったチームですが、それによって、筆者が一人で留守番しても困らない環境が出来上がってしまいました。
人間としての尊厳と自由な行動という観点だけなら、完璧と言えるのでしょうが。
精神的には、頑張っても、誉めてくれる家族や友人とは、遠ざかりました。
単に、呼吸して、食事して排泄するだけの人生になってしまいました。
余生における目標も楽しみも喜びも全てありません。
これで、奮闘努力の甲斐もなく。という歌詞につながって、成功なのか失敗なのかよくわからない結果になってしまったというお話しでございます。
難病で叩き込まれたこと。 近衛源二郎 @Tanukioyaji
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