第2話 アイスバケツチャレンジ

ちょうど、その少し後にSNSで話題になった。

アイスバケツチャレンジという流行がありました。

アイスバケツチャレンジでは、筋萎縮性側索硬化症(略称ALS)という病気が広く知られました。

そして、世の中に、筋肉が萎縮(痩せる)ことによって、動けなくなっていく病気があることが知られるようになりました。

加齢によって、筋肉が痩せることは知られていました。

しかし、加齢による筋肉の萎縮は、本人の心がけで、遅らせることが可能であることも知られています。

人間は、誰しも自分の足で歩きたいものです。

生きてるうちは、歩きたいものですよね。

しかし、なんらかの原因で、足が不自由になることはあります。

脊髄を損傷すると、神経の伝達が出来なくなるため、足が動かなくなります。

脊髄は、交通事故はもちろん、スポーツでも傷めることはあります。

その他、糖尿病による腎不全から、足が壊死してしまって切り落とすことがあります。

足を切り落とさなければ、命の危険があります。

ただ、この場合は、見た目に障害がわかるので、無神経な人にもわかります。

神経難病による下半身不随は、かなり厄介です。

見た目では、しっかりした足があり、普通であれば歩けないとは見えないようです。

また、徐々に進行する難病の場合、初期段階では、屋内のバリアフリー地帯であれば数メートルは歩ける場合もあります。

屋外の歩道等では、危険を避けるために車イスの利用を医師から指示されている人が多いのです。

筆者の場合、自宅のバリアフリーになっているところでは歩けました。

最低限の動作として、自室の中では動けることを目標に、努力してきました。

昨年、発症から20年目にしてついに、立ち上がることすら出来なくなりました。

それでも、単独で車イスに移乗する工夫と機械はあります。

まだ、上半身は少し動きますので、電動の車イスでバリアフリー化した自宅では、リビングに行ったりできます。

もちろん、そんなに長時間車イスに座っている体力は、もうありません。

疲れたら、ベッドに戻ります。

ただ、ベッドから手を伸ばせばほとんどのことができるようにはしていません。

少しでも動こうとすることが、自分自身の身の回りのことは、ある程度自分でやることが、自由の確保につながると信じています。

あくまでも、精神的な自由です。

外出は自由にできません。

排泄も自由にはできません。

小便は、自由にできる方法も器具もありました。

大便は、看護師さんに、ベッド上で処置してもらうしかありません。

当然、紙オムツの利用ということになります。

そうなると、オシャレもへったくれもありません。

筆者の場合は、なんらかの形で、毎日、看護師さんもしくはヘルパーさんが入っていただけてますので、着替えることができます。

しかし、要介護の認定度が低いと、そこまでできないのです。

もちろん、自分でできることが多いから、要介護度が低いということでしょうが。

そうも言ってられません。

高齢者認知症の場合、自分ではできる体力はありながら、意識がありません。

他人や家族から言われて始めてできるという状態の高齢者が多いです。

筆者の母親は、90歳間近で要介護度が、今年ようやく3にしていただけました。

筆者は、要介護度5という最も重症の認定です。

しかし、母親に生活の指摘をして、毎朝の支度を促すのは、筆者がやらなければなりません。

筆者にも、妻子はありますが。

妻は、働きに出て、家計を支えてくれてます。

筆者は、バリアフリーの限りで家事をやります。

もちろん、健常者ほど上手くはできません。

てきぱきとは言いがたいでしょう。

食器等の洗い物はまだ良いのです。

洗って、水切りかごに並べて置けば、帰宅して妻が食器棚に片付けてくれます。

掃除機の時は問題で、認知症の母親が、うるさいと怒りますので、先に母親を寝に行かせます。

そうすると、母親は翌朝まで起きません。

翌朝、起こすと怒ります。

認知症は、自分にとって都合の良いことだけ正しくできるようです。

自分の嫌なことは、意地でもやらないようです。

いわゆる、わがまま気ままになるようです。

進行すると、家族や親族のことは元より、自分が誰なのか、今いる場所がどこなのかすらわからなくなるようです。

そんな認知症患者を難病で障害が出て、動けない難病患者が介護するという矛盾が出ていることも知られていません。

なるほど、アイスバケツチャレンジは、ALSを周知することはできました。

応援するという気持ちを持たれた方も多いと思います。

ですが、アイスバケツチャレンジは、急な温度変化をもたらします。

危険過ぎます。

できれば、おやめ下さい。





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