ガタン・ゴトン

にわかに窓の外の景色に目をやった。

世界を構成する二つの時間が美しく混ざり合っていた。最果てまで続くような。僕の中で世界は二色きりだった。

高層ビルに差し掛かり、無機質な鉄鋼で視界が埋まる。循環列車が通るほんのわずかな時間。

刹那、世界は深い海にのまれていた。世界を照らす色は無く、全くの満潮が世界をおおっていた。

ああ、たった一秒だって世界は止まることなく流れていく。世界はいつも刹那的。

毎日がどれほど同じようなものの繰り返しだとしても、決して同じものでは無い。明日また朝がやってきたとしても、違う朝がやってくる。

毎日違う朝がやってくる。

(ポッカリーネの言う通りだったな。)

そんなことを思う。

(いや、いつだって彼女は正しい…)

明日は明日の風が吹くなんてよく聞くけれど、そんなことは分からない。今の僕にとって、明日はやっぱり死にたい今日の続きでしかなくて、明日もきっと、明日が来なければいいのにと思うんだ。

だけど、確かにこの景色を見ていると、世界の色どりはたった1分だって同じじゃないと分かる。

(明日は、また違う朝がやってくる……)

ガタンゴトンという音を聞きながら、そんなことを思う。

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