第3話 五穀豊穣3
「そうかもしれぬな。同じように神が揉めたという話を聞いても、人間が争うほどの悲壮感は感じないからな。余計な期待もせぬし、失望もせぬ」
神々である
神だって、管轄によっては相対する性質もあろう。だが、相手が違うからと否定していたら、永遠に続く争いになる。それに相手を否定することは自分を否定することも受け入れることになる。
「さて、そろそろ行くころあいだ」
時刻が進み、谷底の景色も
二柱はふわりと宙に浮き、栗林から上空に浮き上がった。向こうの丘に向かってゆっくりと飛び始めた。「
向こう側の丘の上の小学校では、子どもたちが「バイバイ」と手を振って別れていった。夕方で各々の家に帰るところだ。子どもたちは小学校から出てきた。今日、校庭では餅つき大会が行われていた。正月で塾もなにもないので、子どもたちが参加したのだろう。学校はちょうど件の養豚場の跡地にあった。
二柱は飛ぶ速度を上げた。北に向かっていた。目的地は、大きな河のそばの神社であった。
台地は再び崖になり、崖の下にはまた町が広がった。町のまんなかには鉄道が通っていた。中心に向かうと、都市の色が濃くなった。マンションが建ち並び、車の量も多くなる。
そして都市を越え、河に近づくと、木造の家並みが再び戻る。河沿いには町と町をつなぐ、江戸時代からの街道が走っていた。
街道沿いの神社に降り立とうとしていた。
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