結婚式は卒業式の日に・・・の時間 3
昨夜も、あおいと真鍋先生の結婚式の最後の打ち合わせに、あおいのお家に来ていた、百合の意味であおいに初恋の片恋を続け、愛してしまっているサナと初菜の二人・・・。
あおいのお部屋で自分の知らないあおいの幼い日々、あおいの幼いときのアルバムを見つけてしまったサナは
「あおちゃん、このアルバムの写真ね
一枚一万円で売って下さらない?。
わたくし、全部買う!。
だってだってだって
わたくしあおちゃんが大好きなんですもの!。」
これを、同じくあおいに百合の片恋の初菜が、素直に指を喰わえて黙って見逃すはずもあるわけがなく・・・。
「サナっ!
てめえ、あおいの大切な思い出を札束で買うのかよっ!。
てか、あたしだってあおいが大好きなんだよっ!。
てめえ一人だけ抜け駆けして独り占めするんじゃねえぞ!💢💢。」
並みの男の子では勝てないくらいに、武術はかなりの腕前のお転婆娘なこの二人は、明日が結婚式のあおいの目の前で、殴る蹴る投げるの、奪い合いをしたのだった。
六年と少し前、あおいと同じ黒百合女学院初等部ではなく、市立小学校の六年生だった梅宮サナ。そして、あおいと同じ黒百合女学院だったけれど、中等部一年生課程をサボって遊びまわり過ぎて、留年決定していた住吉初菜。
二人はまだ初等部六年生だったあおいの、武術家の孫娘らしい、ちびっこなのに余りにも早く余りにも強すぎる、その上に冷徹合理的に最短距離で一切の無駄のない動きの、喧嘩実戦シーンを目撃してしまい、またその後の、あおいのお嬢様らしい優しい笑顔に触れ、百合の意味であおいに一目惚れしてしまった、この二人。
サナはあおいを理想のお婿さんとして・・・
初菜はあおいを理想のお嫁さんとして・・・
あれから二人はあおいに何度も何度も何度も、告白めいた事はしていたのだけれど、肝心のあおいは、もちろんノーマルゆえに。そして、すでに初恋の真鍋先生がいるゆえに。
「やだぁ!。
わたしみたいな悪魔って言われる女の子の、どこがいいの?。
もっといい人がいるでしょ?。
わからないかなぁ?気付かないかなぁ?。
ほら、二人のすぐ傍にいるじゃない!。」
あおいにそうはぐらかされてしまう連続で。と、いうのも
『サナと初菜はお似合いカップルなのに。
性格は真逆の水と油だけど
漫才コンビみたいに波長ぴったりなんだし
二人とも百合なんだし。
なんでノーマルのわたしに告るかな?。
似合いの相手といつも一緒なのにさ。
「喧嘩するほど仲は良し」って昔から言うのにねぇ。
恋は盲目か・・・』
あおいはサナと初菜のためにそう思い、二人をくっつけようとはしたものの、生まれて初めての百合の初恋に盲目になっている、しかも性格が水と油の二人には、あおいしか見えてなくて。
そして、あおいの結婚式前夜、あおいのお部屋に来ていた二人は、大好きなあおいの、自分たちの知らない幼い日々の写真を見つけてしまい、その写真を奪い合いしてしまったのだ。
大好きなあおいを、あおいが恋し愛する婚約者の自分たちの教師の真鍋先生から、あおいを取り返し自分たち百合のものにする最後の告白の機会だったはずなのに。
それでもこの日、あおいのお家に来る途中の道すがら、二人は・・・
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