戦時体制とはこういうことか

ネコ エレクトゥス

第1話

「国民で一致団結してこの困難を乗り切りましょう!」

 挙国一致体制でこの戦争を勝ち抜きましょう!それ以外の発言は今は許されないらしい。


「Stay home!」

 敵襲に備えて防空壕に避難してください。しかも今、敵襲の危険の少ない田舎への「疎開」なる言葉まであるようだ。


「コロナウィルスを撃退しましょう!」

 鬼畜米英!


「不急不要の外出は控えてください。」

 日本人なら贅沢はできないはずだ。欲しがりません、勝つまでは。


「最前線で戦っている医師の人たちに感謝を!」

 戦線で亡くなった英霊に対し敬礼!


 そのうち「敵艦隊ヲ殲滅ス」といった言葉も出てくるのだろう。


 日本ってのは今も昔もこういう国であるらしい。それが日本のいいところでもあるのだが。しかしこれが本当の戦時下だったらマイペースな僕は非国民か政治犯か、敵国のスパイにされてしまいそうだ。拷問か最前線に送られるか。困ったもんだ。念仏でも覚えといて寺にでも逃げ込むか。


「戦争はいい。余計なしがらみを断ち切ってくれるから。」

 太平洋戦争を挟んで活躍した小説家坂口安吾が女性主人公に言わせた言葉。僕らもそういう時代に差し掛かっているのかもしれない。この時代を境に多くのことが変わりそうだ。

 平安末期飢饉と疫病が頻発し、それに戦乱が続いた。その中で時代の主人公が貴族から武士や商人へと変わっていった。それでも桜を愛する風習は変わらなかった。それならそれでいいのだろう。

 では酒でも飲みますか。

 




 

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