BLの濡れ場に挑戦するだけ
これは物語の主人公・
丁度ふた月前、茜とその恋人、
付き合いはじめてひと月が経つ頃、二人はすっかり打ち解けあい付き合いはじめて一ヶ月を祝すために部屋の飾り付けを行うほど仲睦まじかった。しかし、そのお祝いをした翌日、光希は隣県へと引っ越すことになったのだ。それから茜と光希は一度も会っていない。お互い会いたい気持ちはあるのだが、光希はそれに応えるにはあまりに多忙すぎたのだ。光希自身、仕事に没頭すると他のことは手がつけられなくなり茜のこともまた同じように連絡すらまともに出来ていない状態であった。そしてそれがひと月続き、二ヶ月目の記念日を迎えた。
茜は自身の携帯を覗いては未だ来ない光希からの連絡に不安になる。茜にとって会えない一ヶ月間、それはとても心細く、光希に依存していたため何度も不安で押し唾されそうになっていた。その度、記念日にはきっと連絡が返ってきて一緒にお祝いができる、そう信じることで心の平静を保っていた。しかし時刻はもうすでに午後七時になっていた。茜はすっかり不安になってしまい、とうとう声を上げて泣き出してしまった。その時、茜の携帯から通知音が鳴った。茜にとってそれは何よりも欲していた音であった。急いで涙を拭き取り深呼吸をした後、少し伏し目気味に携帯の画面を開いた。そこに示されていたのは光希からではなく、茜・光希と揃って仲が良かった
茜は絶望した。とうとう光希から連絡が来なかったのだ。そうしてまた声をあげて泣いた。涙も枯れるほど泣いた後、茜は秋也からの連絡を確認した。
「これから会おう」
短い文面だったが、茜は了承した。急いで支度をし家を飛び出すと、丁度停留していた電車に飛び乗り、待ち合わせ場所へと向かった。
午後八時、そこにはいつもと変わらない秋也がいた。その姿を見て安心した茜は久々に再開した友人と居酒屋へ向かうことにした。居酒屋の個室で向かい合うように座った二人は少し気恥ずかしそうにしながらも酒を飲み、アルコールが回りはじめた頃には二人ともよく喋るようになり笑いを交えながら、様々な話をした。それから秋也は茜と光希の関係を知っていたので、茜は酒もあってか光希に対する愛や不安や寂しさを次から次へと吐き出した。秋也はそれを黙って聞き、茜が満足するまで付き合った。酒の弱い茜は満足する頃にすっかり酔い潰れてしまっていて、秋也はそんな姿を見て茜の隣へと移動した。机に突っ伏したままの茜の背を優しく撫でると、茜は顔をあげた。その姿はとても美しかった。気怠げな雰囲気を纏ったその瞳は秋也の理性を奪う。茜の肩を抱きしめ、秋也はキスをした。茜は抵抗しなかった。しばらくそうした後、秋也は茜を連れて店を出た。
午後十時、夜の街はこれからというほどに賑わっていた。多くの人混みの中、今にも倒れそうな茜の肩をしっかり抱きしめ秋也は少し人通りの少ない路地へと向かった。古びた雑居ビルの間に挟まれるように位置するホテル、そここそが秋也の目的地であった。ホテルの前まで連れられて、ようやく茜はそのことに気づく。
「ここには行けないよ。」
そう告げたが、秋也にその声は届かなかった。エントランスにある機械を操作し、案内に従って奥の部屋へと進む。部屋に入ると、キングサイズのベッドへと茜を放り投げた。秋也は急いで服を脱ぐと茜の上へと覆いかぶさる。茜は思わず目を逸らしたが、秋也はそんな茜の顔をグイと自身の方へ向き直させキスをした。茜は身をよじって抵抗したが、秋也は関係なく空いたもう片方の手で茜の服を脱がせていく。キスを中断し、茜のシャツを脱がせる。下着に手をかけた時、茜は泣きそうな声で言った。
「光希が…」
最後まで言い切る前に秋也が遮る。
「今日は記念日じゃなかったのか。」
その言葉の直後、秋也は下着を奪い取りベッドの外へと投げた。そして茜の両腕を頭の上で押さえつけると、まずはその体をよく観察した。やはり、変わらず美しかった。少し汗をかいてはいるが不快な匂いではない。軽くキスをすると、少しずつ舌を体に沿わせて下へ降ろしていく。鎖骨に舌を這わせる。茜から吐息が溢れる。さらに舌をゆっくりと下げていく、乳首を優しく舐めると茜は一層激しく息を吐いた。片手で茜の陰茎に触れると、それは茜の意思とは裏腹に大きく硬くなっていた。ゆっくりと陰茎を握ると、上下へと動かす。それと同時にまた舌も動かしはじめた。茜の口からはとうとう声が漏れはじめる。秋也はその様子を見て彼自身もまた、茜と同じ有様になっていた。秋也は茜から離れると、部屋の隅にある小さな戸棚を開き、ローションを購入した。そしてそれを枕元へ置くと、今度は茜を押さえつけたりせず、先ほどと同じように手で陰茎を触りはじめた。茜の両手は秋也の手に重ねられたが、強く抵抗することが出来ないほど茜は快楽に溺れていた。茜の耳元で秋也が囁く。
「気持ちいい?」
茜は目を合わせなかったが頷いた。
「激しくしてほしい?」
この問いには茜は答えなかった。秋也は手を離すと焦らすように茜の身体を指先でなぞる。茜は秋也の方を見つめるが秋也は意地悪な笑みを浮かべて黙っているだけだった。
「…してほしい。」
先に声を出したのは茜の方だった。秋也はそれでも陰茎には触れず、茜の身体を優しく撫で続ける。
「何をしてほしいかちゃんと言って。」
秋也は茜にそう告げる。
「もっと激しく…気持ちよくして欲しい…。」
そう言うと茜は顔を赤くして秋也から目を逸らした。秋也は再び茜の陰茎に触れると、先ほどとは打って変わって激しく上下に動かす。茜の口からは吐息と喘ぎ声が絶え間なく吐き出され、それが秋也の色情をさらに昂らせた。激しく動かして茜が果てそうになると手を離す。それを延々と繰り返していた。
午後十一時、茜はただ秋也に身を任せ、押し寄せては引いていく快楽の波の虜になっていた。
「光希ともこういう事していたんだろ。」
秋也はそう言い、枕元のローションへと手を伸ばす。茜は何が起こるか理解できずにいたが、直後、臀部に触れた冷たい感触で理解した。
「まだ、してないから…だめ。」
茜がそう言うのと同時に秋也の指が茜の中へと入ってきた。茜は初めての感触に何度も止めるよう説得したが、秋也は聞かず、段々と挿れる本数を増やしていく。徐々に苦しくなり、痛みが増す。茜は力を振り絞りおきあがろうとするが、足は秋也が上に乗っていて動かせず、腕はその行動を察知した秋也によって押さえられてしまった。指が三本入ると、秋也は茜の足を両腕で広げるように抱え込み臀部へと自身の陰茎をあてがった。
「ほんとにやめて。」
茜がそう言うも、秋也は茜の中へと自身の一部を侵入させていった。あまりの痛みと苦しみに茜は涙したが、秋也はもう抑えが効かず、獣のように腰を振り続けた。茜からはただ嗚咽が漏れ、痛みや苦しみだけでなく光希に対する罪悪感で次々と大粒の涙がこぼれ落ちた。秋也の動きが段々と早くなっていき、秋也は茜の中で果てた。脈打つように白濁が茜の中へと注ぎ込まれ、一分ほど繋がれたまま余韻に浸った後、秋也は陰茎を引き抜いた。秋也の陰茎は茜の血と自身の白濁で汚れていた。それは茜の臀部も同じであった。秋也はティッシュで軽く自身の陰茎についた汚れを拭き取ると風呂場へと向かった。
午後十二時、茜が霞む視界の中、時計の方を見ると丁度この時刻を指していた。
そうして、茜と光希の二ヶ月記念日は終わったのだ。
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