追悼・あほないぬ
私の大切な家族。あほだけど二足歩行のできる犬。その命がAIによって奪われたのだ。
2020年、人類はロボット分野によって飛躍的な進歩を遂げ、あらゆる機能がロボットによるものになった。町の交番も廃止され、警察の仕事もまた、ロボットが請負い今日もパトロールをしている。私には大切な家族がいる。茶色い毛並みの雑種犬。頭が少し悪かったがなんと、二足歩行をすることのできる犬であった。しかしそれはこの世界においてはイレギュラーでありプログラム通りに動くロボットたちにとっては排除する対象だったのだ。そしてある時、ロボットにその存在が知られる時がきた。それは私のミスによるものであった。今思い返せば本当に下らないことだが、あほないぬがどれだけ多く発声できるのか試してみたくなった。元来より超越的な技能を持つ犬である、その潜在的な能力を引き出したかった。そして、私はその能力により、退屈な毎日を抜け出しタレントになろうなどと考えていたのだ。
だが、それが失敗だった。犬の声はあまりに大きく、そして多かった。警察ロボットに見つかったのだ。私はなんとしてもこの犬を守ろうとした。しかし犬はニヤリと笑って私にこう告げた。
「[Alexandros]」
それは、古典ギリシャ語で「男達を庇護する者」という意味であった。
犬は自身の命と引き換えに私を守ったのだ。そして私はその犬に対して敬意を払わなければならない。今こうして文章を書けているのもその犬のおかげだ。
最大の敬意をもって
あほないぬ
forever
fin.
次回
コールドスリープされたあほないぬを取り返すための奪還作戦敢行。
取り戻す、必ず。
次章完全決着。
『その先に待つのは、あなたの理解を超える衝撃。』
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