運命?偶然?
「ん、んん……」
僕は呻き声を上げながら、ゆっくりと目を開けた。
目を開くと、そこには白いタイルの天井が視野いっぱいに広がっている。どうやら、僕は屋内にいるらしい。
そのまま、ゆっくりと上半身を起こすとベッドの上に横たわっていたことに気づいた。
そのうち、意識もはっきりしてきたので、辺りをキョロキョロ見回すと同じようにベッドが他にもいくつかあり、壁には棚があり、その中に瓶がいくつも入っていた。
「ここは……」
施設の中にある救護室ってところかな……
そんなことを思っていると、ガチャっとドアが開き、白衣に身を包んだ眼鏡をかけた若い女性が入ってきた。
が、その顔を見て、僕は思わず、目を見開いた。
「なんでここに……!?」
そんな言葉がたまらず、出てしまう。
入ってきた女性はいつぞやのネコカフェで会った女性店員さんだった。そう、あのとても失礼な。
「いやー、実は本業がこっちでね。あっちはバイトでさ。あ、このことは内緒でね?」
言いながら、人差し指を自身の口の前に立てる。
「それにしても、まさか君がここにいるなんてねー。これも運命かしら」
「そんな、ただの偶然だと思いますが……」
まぁ偶然にしちゃ、よくできた話だと思うが、あいにくこれが現実だ。漫画ではない。
「それより、身体は大丈夫かね?」
「え、あ、はい……」
言われてみてから、意識してみる。
手が当たったアゴは少しヒリヒリとするが、それ以外は特に何もなさそうだった。
「多分、大丈夫です」
「うん、ならよかった。外で彼女が待っているから、早く行ってあげた方がいい」
「あ、はい。ありがとうございました」
「それじゃ、またどこかで会おうね」
そう言って、手を振る女性。
僕はその言葉が現実になる気がして、何故か心臓が跳ね上がるのを感じるのだった。
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