謎の接触

 放課後。藤堂さんと共にショッピングモールへ向かう。倉田さん、桐谷さん以外の誰かとどこかへ出かけるのなんて初めてだから、やけに緊張してしまう。

 きちんとエスコートできるだろうか……

 って、この考えだとデートみたいだよね……


「高木君って結構ミステリアスだよね」


 すると、僕の隣を歩いている藤堂さんがいきなり、そんなことを言ってきたので、僕ははっとした顔でそちらを見た。


「え、なんで……?」


「だって、クラスでもさ、あんまり人と話したりしないでしょ?なのに、倉田さんみたいなすごい美人さんと付き合ってたりするからさ。なんというか、意外だなーって」


「あー、うん、そうだよね……」


 やっぱり、そう思われて当然だよね……

 絶対に釣り合わない二人だし、影で色々と言われてるんだろうな……


「だから、今日はどうやって付き合うことになったのか、聞こうと思って!」


 やけに元気よく藤堂さんは言った。

 なるほど。だから、僕と行きたがってたわけか。そういうことなら、納得した。きっと周りからも、聞いてきてほしいとかって言われてたんだろうな。まぁ僕と行きたい理由なんて、その程度だよね……

 デートみたいとか思ってたけど、そんなわけないか……


 少し、気分を落としつつ、ショッピングモールへと向かうのだった。














 ♦︎













 程なくして、ショッピングモールへとたどり着き、昨日と同じ要領でネコカフェへと向かう。

 そして、ドアを開け、店内へと入っていく。


「いらっしゃいま……」


 そこにいたのは昨日と同じ女性の店員さんだった。

 僕の顔を見た後、隣にいる藤堂さんの顔もじっと見てくる。

 なんだ……?

 何か変な所でもあるのかな……


 僕がそう思っていると、藤堂さんがレジで受付をしている間にこちらにスッと寄ってきて、手招きをするので、僕は恐る恐る、近づいていった。


「あの、失礼なんですけど、もしかして、浮気ですか……?」


 そして、怪訝な様子でそう尋ねてきた。


「え、はぁ!?」


 いきなり、そんなことを聞いてきたので、僕は盛大に驚いてしまった。

 なんなんだ、いきなり!?


「いや、昨日来られた時は別の女性だったので、そういうことをしているのかと……」


「いやいや!そんなことしてません!二人とも友達です!」


 めちゃくちゃ失礼だな、この人!

 まぁそう見られても仕方ないのかもしれないけど、だからって聞いてくるか、普通!?

 僕は久しぶりに怒りを感じた。


「友達……?その割には、昨日の女性とはやけに親しかったような……」


「とにかく、何もありませんから!」


 僕はそう言うと、足早に店員さんの前から去っていった。

 全くなんてデリカシーのない人なんだ。

 失礼すぎるぞ、全く。


「なんか大声で話してたけど、どうしたの?」


 戻ってきた僕の様子を見て、受付を済ませた藤堂さんがそう聞いてきた。


「あー、うん……昨日も来てましたよねって聞かれてさ。それで少し話してて」


「そうなんだ。あ、とりあえず二時間コースにしたよ。ドリンクは後で頼むことにしたから」


「あ、うん。ありがとう」


 返事をしつつ、僕はドアを開けた。

 ドアを開けた瞬間、昨日と同じようにネコ達が寄ってくる。

 うん。見ているだけでかわいいな。

 それにせっかく来たんだし、気分を変えて、楽しむとしよう。


「とりあえず接触成功……」


「ん……?」


 その時、僕は誰かが呟いた気がして、周りを見渡した。

 気のせいかな……?

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