アピール

 翌日。いつも通り、学校に登校し、教室に入り、席に着く。


「ねぇねぇ」


 すると、席に着いたタイミングで話しかけられた。話しかけてきたのは藤堂さんだった。

 こんなことは今までにないので、僕は少し驚いた。


「昨日、行ってきたの?」


「ああ、うん。早速行ってきたよ」


「そうなんだ。色々聞けた?」


「うん。それなりには」


「それならよかったね」


 言いながら、藤堂さんは前の席に座った。


「実はあそこのネコカフェ、私も気になってたんだー。かわいいネコちゃんいた?」


「え、ああ、うん。人懐っこいネコばっかりだったよ」


 この言い方だと藤堂さんもネコ好きなのだろうか。まぁ僕も昨日のこともあってか、かなりネコ好きになりそうだった。


「そっかぁ。私も行ってみたいなぁ……」


 すると、藤堂さんはそう言ってから、やけにこちらをチラチラと見てくる。

 うーん、これはつもりそういうことだよな……

 でも、なんだって僕なんだろうか……

 藤堂さんなら、誰とでも行けそうなのに。


「じゃ、じゃあ、今日行ってみる……?」


「うん、行こう!」


 僕がそう言うと、半分被せ気味に藤堂さんは即答してきた。


 周りにネコ好きがいないのかな?

 でも、こんなあからさまな誘えアピールはびっくりしたな……

 まぁ僕としても、またあのネコ達に会えるのならウェルカムだし、まぁいいか。それより、今日は別々に帰ることになるって、倉田さん達に言っておかないとな。














 ♦︎














 昼休み。いつものように倉田さんのお弁当を屋上でご飯を食べている時に僕は例の話を切り出した。


「今日さ、クラスの子と少し寄り道して帰るから、先に帰っててね」


 僕の言葉に箸を進めていた倉田さんの手が突然、止まった。


「そう。それはいいけど、珍しいわね。あなたが他の人と遊ぶなんて」


「まぁね。昨日行ったネコカフェのことを話したら行きたいって言ってきてさ」


 まぁ本当はこっちが誘ったんだけど。と心の中で付け足しておく。


「へー……ちなみにそれは女の子?」


「え、ああ、うん、そうだけど」


「そうなの……」


 倉田さんはそう言うと、箸を置いて、一人離れた所で食べている、桐谷さんの方に歩いて行った。


 ど、どうしたんだろ……

 まさか、僕が誰かと出かけるのがショックとか……?

 いや、まさかな。そんなわけないって。

 大体、僕と倉田さんはまだそんな関係じゃないし。

 きっと、桐谷さんに今のことを伝えに行ったとかそんなんだろう。あまり、気にしないようにしよう。

 僕はそう思いながら、ご飯をどんどんと食べて進めていった。

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