登校
「ふわぁ……」
ベッドの端で小刻みに震えている携帯のアラームを止めてから、僕は大きくあくびをした。
携帯が震えたということは設定したアラームの時間になったということだ。
もう朝の七時か……
昨日は早めに寝たのにな。
あと三時間くらいは寝たいところだ……
そんなことを思いながら、ベッドから身体を起こし、手で目をこすった後、ベッドから降り、洗面所へ向かう。
そして、バシャバシャと適当に顔を洗った後、歯を磨き、リビングへ入る。
リビングへ入ってから、台所にある戸棚からシリアルの入った箱と冷蔵庫に入っている牛乳を取り出し、食器棚から取り出した皿の上に盛り付け、イスに座り、スプーンですくって食べる。
これが僕の朝のルーティーン。
休日以外はこれが毎朝の食事だ。
たまにパンにするときもあるが、シリアルだとサッと食べられるので楽なのだ。
何より、手間がかからない。
そうして、食べ終えた後、皿を台所の流しにおき、部屋のハンガーにかけていた制服を取り、それに手を通す。
制服に着替えた後は、ソファに座り、家を出る時間までテレビを見る。
テレビを付けると、占いをやっていた。
僕は十一月八日生まれなので、蠍座だ。
「今日、最も良い運勢は蠍座のあなた!意中の相手からサプライズが待っているかも?」
少しテンション高めにアナウンサーの人がそう言っている。
意中の相手か……
僕の場合、倉田さんかな……
でも、別に好きってわけでもないしな……
いや、そもそも僕は倉田さんのことをどう思っているんだ……?
嫌いではない。それは確か。
しかし、好きかと言われれば、微妙なところだ……
そもそも、僕と倉田さんの関係はかなり特殊だし、あんな美少女からアプローチされて、何言ってんだ、この野郎って、周りから思われるかもしれないけど、異性としての好きはないかな……
もちろん、人間的には好きだけど、中々難しい問題だな……
僕が頭を悩まながら、ふと携帯の時間に目をやると、家を出る時間になっていたので、僕は慌てて、カバンを手に取り、家を出た。
そして、エレベーターに乗り、下に降りる。
「あ、やっときた」
僕がエレベーターを降り、オートロックの扉を出たところに、何故か倉田さんが立っていた。暇つぶしのために携帯をいじっていたのか、僕の姿を見て、カバンの中へと携帯を閉まった。
「え、なんでここに……!?」
僕は驚きながら、慌てて駆け寄る。
「どうせなら、一緒に登校しようかと思ってね。それにしても、あなた、結構遅くまでゆっくりしてるのね」
倉田さんは苦笑を浮かべた。
「ああ……でも、わざわざ外で待ってなくても……インターホン押してくれたら、上げたのに」
「え……ああ、そうね……」
僕がそう言った瞬間、倉田さんは顔を少し赤らめた後、何故か顔を伏せた。
僕、何か変なこと言ったかな……?
「と、とりあえず、早く行きましょ。遅刻しちゃう」
「え、あ、そうだね……」
というわけで、僕たちは揃って学校に向かうことにした。
うーん、二人揃っているところをクラスの誰かに見られたら、確実に面倒なことになりそうだな……
この前、倉田さんが教室に来たのもあるし……
まぁ仕方ないか……
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