僕の海賊物語

総督琉

僕の海賊物語

僕は引きこもり。学校でいじめにあい、僕は引きこもりになった。


「あーあ。このゲームつまんねー」


そう言って、プレイしていた海賊のゲームを地面に叩きつけた。


「あーあ。つまんねーな」


僕は疲れていたのでそのまま眠っていた。そして激しい砲撃の音とともに僕は起きた。だが起きた場所はボロいアパートではなかった。


知らない天井に知らないベッド。僕の家にベッドは無いはず。


「起きてください。急がないと副船長にしかられるぞ。船長」


バンダナを巻いた見知らぬ男が俺を起こした。


「だ…誰?」


俺は驚きを隠せなかった。


「どうしたんですか。船長! それよりも敵船が来てます。速く指示をお願いします」


俺は導かれるがままに階段を上がった。歩くたび木の音が鳴る。まるで海賊船みたいだ。


そして扉を開けると太陽の光がギラギラに差しまぶしく、引きこもりにはキツいくらいだ。


2020年夏といった感じだった。


「砲撃が来ます!」


すると大きな爆発音とともに黒い大きな玉が発射された。


「まさかまさか…!」


玉は場所を外し、海の中に入った。すると大きな爆発音を立て、海が波を立てる。


「大砲!? まさか本当に…」


「若僧たち。敵船を一つ残らず撃ち落とせ」


そして五つの敵船の内、二つの敵船が煙を上げ、沈んでいく。


「左翼。敵船が回り込もうとしている。回り込まれる前に撃ち落とせ」


謎の女性の指示の下、敵船が次々に沈んでいく。たった一隻で既に三隻を沈めている。


「あの人誰?」


「え!? あの人は副船長のスフィア。船長が一番最初に仲間にした人じゃないですか。忘れちゃったんですか?」


この男はなぜか普通に話し掛けてくる。


「お前の名は?」


「ロバーツ。あなたに救われた者の一人です」


そうだ。こいつらはゲームに出てきたキャラだ。ロバーツは奴隷だったところを救った。スフィアは貧しい親に売られるところを救った。色々大変だったっけ。


まさかこれはゲームを投げ出した恨みか?


「船長も指示をお願いします」


「どうしてだ? もうスフィアの指示だけで終わるだろ」


「いや。既に敵の援軍がこちらに向かってきてる。だから船長も指示をお願いします」


マジか。でもゲームの時と同じようにやれば。


「よし。では後ろは俺が指示する。スフィア。前衛は頼んだ」


そして俺は船の後ろにいる敵の討伐を開始した。後ろの砲台は一つ。


「船は十隻。いや、二十隻か! さすがにこれは厳しいな」


「それに玉は七つしかありません」


「嘘だろ!!」


どうすれば?こうなったら…


「敵船に乗り込んで直接破壊する。ロバーツ。サクリファ。ジェットボートで乗り込め。一人一つで大丈夫だな?」


「ああ」


「了解」


そしてジェットボートで敵船に乗り込んだ。


ロバーツとサクリファはジェットボートを軽々と乗りこなしているが、僕はゲームのようには出来ず、敵船に思いっきり衝突した。


「おい。誰かが入ってきたぞ」


「おい。こいつは黒船の船長だ!」


敵船の船員が一堂に襲ってくる。僕は剣を抜き、敵に立ち向かった。


「うぉりゃー」


だがすぐにやられ、あっさりと捕まる。そしてある者の前に案内された。


「よー。お前もこの世界に転生されてたとはな」


「よー。お前のせいで不登校のなったんだ。お前のせいで何人も学校に来なくなった。僕はお前が嫌いだよ」


そう。こいつは僕の通ってる学校の支配者だ。生徒だけでなく教師まで支配する。最低クソヤロウだ。名はレオン。


僕は一矢報いろうと僕を抑えていた海賊を蹴り飛ばし、剣を奪いレオンに斬りかかる。が…


「お前はまだ剣の扱いに慣れていないようだな」


レオンは剣を素早く抜き、僕の剣を受け止めた。


「俺はこの世界に来てから1年経ってる。嫌でも剣の腕前は上がっちまう」


「ざまーねーな。いじめッこが、今度は異世界に来ていつ死ぬかも分からない戦場にいるんだから」


僕はレオンを嘲笑った。だけど…


「正直こちらの世界のほうが面白い。元の世界はつまらない。まあでも、君は、クウキくんなら死んでも変わらないね」


そしてレオンが剣を僕に刺そうとした瞬間、この船に大砲の玉が一発、直撃する。


「災難だったな。じゃあまたあとで会おうぜ。いじめッこくん」


そして僕はジェットボートに乗り、自分の船に帰った。


「よし。このまま帰還する。急いで船を走らせろ」


そして多くの敵船をかき分け、ギリギリで港まで着いた。そして隠れるように島の宿屋に泊まった。


「よし。では早朝、速やかに遠くに行く。だから今日はおやすみだ」


スフィアの指示で他の仲間は全員眠った。最初は百人程いたが、今では七十人に減っている。それに船もボロボロ。これじゃ嵐に襲われればすぐに壊れる。


僕は眠れなかったので窓から月を見ていた。あれはゲームの月なのか、ゲーム画面に映った本物の月なのか。僕には分からない。


「どうした?ドラゴニス船長」


そういえば自分の名前はドラゴニスにしてたっけ。今思えば中二病が考えそうな名だな。


「なあスフィア。もし僕が別の世界から来たとしたら、君は驚くか?」


「いいや。でも興味はある。君がどんな人生を歩んで、どんな奴と関わってきたか」


「そうか…。それよりさ、あの船じゃいつ壊れるか分からない。本当にあの船でこれからの海を渡るのか?」


「あの船は皆にとって大切な船になっている。そんな船を誰も手放したくないんだよ。だからさ、これからもあの船で旅をしようよ」


スフィアの思いは本物だろう。


ああ。この世界で生きたかったな。


そして朝が来た。


「皆。船に乗れ」


僕たちはまだ島の人が眠っていて、朝日が出ていない内に船を出した。


そしてもう3時間が経っただろう。辺りが少しずつ明るくなり始めた。


そういえばこのゲームには隠しステージがあった。確か…


狭間はざま神殿」


「え!?」


スフィアは急に狭間神殿という言葉を口にした。


「今から私たちが向かうのは狭間神殿。あそこは海賊の間で噂になっている、まだ誰も着いたことのない神殿」


「でも行き方知ってるのか?」


「知らない。でもここらへんにその入り口があるのは確かだ」


するといきなり海が荒れた。


「な…何だ!?」


「大変です。このままでは渦に呑み込まれます」


そして船が急に沈んでいった。船の中にいた僕たちは船から投げ出されずに済んだが、そとにいた奴らは皆、船の外に投げ飛ばされていた。


そして船が着地先にあった湖に着水した。


僕らは外に出て、外の景色を見た。


「何だ…これ!?」


周りは金銀財宝に囲まれている。それに湖の中にも金色の財宝が見える。


「す、すげー!」


僕は単純に驚いた。だがここからどう出るのだろう。


「よし。ここらへんを探索してみよう」


僕らは船の外に出てこの謎の場所を見渡した。


するとどこかから足音がする。足音がする方を見ると、そこにはレオンとその仲間がいた。


俺たちはとっさに武器を構えた。


「よー。クウキくん」


「レオンか! 」


すると巨大な龍が洞窟の天井に現れた。


「グォオオオオオオ」


初めて見るモンスターだ。レオンたちの海賊団が巨大な龍に容赦なく斬りかかる。だがレオンが率いる海賊は一瞬で吹き飛ばされた。


「う…嘘だろ!?」


レオンたちの率いる海賊は誰一人としていなくなった。つまり残りはレオンだけ。


レオンはただ突っ立っていた。そのレオンに巨大な龍のしっぽが腹を突こうとしてる。


レオンが…死ぬ? いいのか?僕はそれで?


そして巨大な龍がレオンの腹を…だが僕はレオンをかばい、僕の腹にしっぽが刺さる。


「ぐっ…ばっ……がっ…」


「クウキくん!? どうしてだよ?」


「お前には生きてもらわねーと…そうしねーとお前に…復讐できねえだろ…」


「クウキ…」


そして僕は力尽きた。そこからは覚えていない。でも、レオンと僕の海賊たちが巨大な龍を倒したような気がした。




そして僕は目を覚ました。


知っているボロいアパートの天井。それに綿がはみ出た布団。


「戻ってきたのか?」


あれが夢だったのか現実だったのか分からない。だけど僕の物語を大きく変えた。


ピンポンが鳴る。


そして僕は扉を開けた。


「巨大な海賊船を見つけた。探検しに行こうぜ」


「うん。行こう」


そして、僕は普通に学校に通い始めた。

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