第3話

「それにしても、僕とんでもない人にお願いしようとしているのかな」

僕の目の前には大きな家が建っている。

こんなに立派な家は領主様が使うものなんじゃないのかなと緊張が走る。

身分が高い人だったらどうしようか。

リーゴ先生から渡された住所に僕とポップは来た。

渡されてから次の日の放課後に友達と遊んでくるとママに嘘をついて僕はここまで来たけど罪悪感が湧く。

今まであまり嘘ついたことがないどころか勘違いを覗けば無縁の生活をしているよ。

よく僕は勘違いしたことを覚えてきちゃうから、よくママに苦笑いされることがある。

そわそわしていると子豚であるポップから「堂々といけ」と僕の頭の中にテレパシーを飛ばしてきた。

「うんわかったよ、ちょっと緊張しちゃってさ」

勇気を出して扉の近くについているブザーを鳴らそうとすると後ろから声をかけられた。

「お前何やってるんだよ、まさか俺に勝つためにここで鍛えてもらおうとしているのか!」

「うわっ、びっくりした!いきなり声をかけないだよ」

「いやー悪い悪い、たまたま母さんに買い物頼まれてここを通っただけ、だけどよ、あの看板を見つけちゃったんだよな」

ジンタはこの家の近くに置いてある看板を指さした。

こんなのがあったんだ僕見つけられなかったな。

なんか「どんな豚野郎でも筋肉ムキムキのかっこいい男にして見せます」って書いてあるけどそれがどうしたのだろうか。

僕が不思議に思っていると「ローグの体系にはぴったりだって俺思っだよ」とにやにやしながらこちらに言ってきた。

なんてことを言うんだ。

確かに僕の体は豚みたいに太っているけれども、気にしていることを言われて少しイライラする。

「僕は豚だけどさ、これから強い人間になるからいいの!」

「楽しみにしてるぜ、豚から人間になるだなんて前代未聞な進化だな」

ジンタはゲラゲラと僕を馬鹿にしたような笑みを浮かべながら自分の目的のために去って行った。

この場所から商店街はこの場所から結構あるけどジンタはいつも買い物行っているのかな。いい運動になりそうだ。

「絶対僕あんな奴に負けないから!」

僕はジンタに馬鹿にされたことでそわそわすることなくブザーを鳴らすことに成功した。絶対強くなってぎゃふんといわせえるよ。

「なんだ~ずいぶんと小さなお客さんだな、とりあえず中に入れよ」

扉から出てきたのは肌が黒いのが特徴的で筋骨隆々の肉体を持っているまだ若そうに感じる男性だった。

すごい肉体だ。

僕もこんな体になれるのかな。

「お、お邪魔します」と僕は緊張しながら玄関に入って靴を脱ぐ。

ポップは我が家に入る的な印象を持ってしまうほど堂々としている。リビングに入るとその大きさにビックリしてしまう。

やっぱり貴族様なのかもしれない。

「俺はボルグって名前だけど、お前は?」

ボルグさんは椅子に座りながら僕に名前を聞いてきた。

なんかボルグさんの目が力強すぎて声の出にくい感じるが「ローグって言います」と何とか伝えることができた。

「ローグは何のために俺のところに来た」

「その、どうしても1ヶ月間で強くなりたいと思って」

ボルグさんは僕を見ながら何かを確認するかのように考えた後にキッチンまで行きコーヒーが入っているカップを持ってきて一口二口おいしそうに飲む。

コーヒーが好きだって伝わってくる。おいしいっていう人がいるけど僕は苦手だ。

「そうか、俺はお金がない奴を指導することは好んでないから無理だな」

ボルグさんに強くしてもらうためにはお金がいると知った僕はショックを受ける。

お小遣いをもらったことがない僕はもちろんお金がないし、そもそも大人じゃないと手に入らないくらいの大金なのかな。

落ち込みながらダメ元でお金を稼ぐ方法を聞く。

「どうすれば僕でもお金を稼げますか」

ボルグは意外そうにしながら僕を見た後、ニヤニヤとし始めた。

ボルグは紙を取り出し何かを描き始めた。

「俺はもうちょっと年がローグより上になったころにギルドに入ってお金稼ぎをしていた、だからお前も同じことをすればいいぜ」

「大丈夫ですか、僕みたいな子供が行って」

「俺も大丈夫だったからお前も大丈夫だ、鞭打って働いてこい!」

「子供に言うセリフじゃないよ!?」

パリストン領ズッキーニ地区に支部を置いているギルドまでの地図が描かれた紙を僕に渡してきた。

それから僕はボルグさんの家を出て紙に描かれたとおりに歩き始めた。

パリストン支部は商店街にあることを初めて知った、今まで僕見たことなかったな。

「さっきから気になってたけどよ、その豚はかなり利口だよな」

僕と同じくリビングにいたポップを触りながら聞いてくる。

僕は「うちの家族のポップです」と答えるとがしがし触る勢いが増した。

ポップは心底いやそうにしているがおとなしくしていた。

ボルグさんの家から出て15分、僕はにぎわっている商店街を人にぶつからないように進んでメンチカツ屋さんがすぐそこに見えるところに来ていた。

地図には僕が好きなメンチカツ屋さんと老夫婦で切り盛りしている武器屋さんの間にある道を少し行けばギルドがあると記されている。

そのため僕は空腹のお腹をさすりながらメンチカツ屋さんに並んでいるお惣菜に目をとられてしまっていた。

冒険者たちは仕事帰りなどでお惣菜を買って帰ったりするのかな、僕は多分買ってしまうと思う。帰りに好物が売っているなら自然とお店に行っちゃうよ。ここの冒険者っていいな。メンチカツ屋さんがすぐ近くにあるなんて。

「いかんいかん、僕はギルドに行かないといけないんだ!」

誘惑を断ち切りメンチカツ屋さんと武器屋さんの間にある道を歩いていく。

すると大きな建物が見えてきた。

「この建物がギルドか。すごい立派な建物だ」

とても大きな建物が僕の目の前にいる。

4階建てくらいありそうで、規模が大きいのが一目でわかってしまう。

なんかこういうところで働くのってドキドキするかもしれない。

僕は冒険者が何をする職業なのかまったくわからなかったけど賞金を稼ぐ以外にも人助けの依頼などをこなすことができることをリーゴ先生からおすすめしてもらった本で知ってからなりたいと思うようになった。

だからギルドの中に入るのが楽しみで仕方がない。

「なんで僕より先に行くの!」

ポップが僕より先に動き出し空きっぱなしの入り口に入って行く。

後に続くような形で僕もギルドの中に入った。「うわー!」と僕は興奮する。

中にはたくさんの人がいるがその大勢が街でお買い物とか畑仕事している住民たちと違って体が鍛えられているしなんていえばいいのかな、みんな明るく楽しそうだ。

「だから待って、なんでさっきから僕より先に行っちゃうの!」

僕はギルドの雰囲気を堪能するためその場に止まって周りを見渡していたらまたしてもポップが勝手に歩みだす。

僕は急いでポップに追いつくと近くに受付があることに気が付いた。

ポップは受付に行くためにどんどんと歩いていたのだ。

「あら、かわいい男の子ね、何か依頼とかあるのかしら?」

受付の高身長でキレイな大人の女性が僕に声をかけてきた。

あー緊張するよ。

僕がうずうずとしているとポップが男らしくはきはき喋れよと頭にガンガンとテレパシーを送ってくる。

なんかポップが怒っているような気がしてなら人だけど。僕は覚悟を決めて口を開く。

「ぼ、僕は冒険者になりたくて来ました!」

「そうなのね、でも14歳にならないと冒険職には就けないのよ」

「そ、そうですよね、でもどうしてもお金が欲しくて!」

受付の女性は少し困ったように「ちょっと待っていてね」と奥に行ってしまった。

14歳にならなければ入ることができない。

ボルグさんが僕くらいの年にはギルドに居たって言っていたからもしかしたらって気持ちがあるけれどかなり無茶なことをしているよね。

数分経ち自分の中でやっぱり迷惑なことをしてしまったと後悔を始めていたところ受付の女性が白髪とものすごく鋭い目が特徴的な老人を連れてきた。

ボルグさんよりも鋭い視線にオドオドしているとポップが前足で僕の脛を蹴った。

急に襲ってきた痛みに僕は顔を歪ませながら脛を確認する。

「なんじゃーわしが出てきた瞬間足を痛そうにしおって」

先ほどまで鋭い目をしていた老人はこちらを呆れたようなに見てきた。

恥ずかしいじゃないか。

ポップめ、いくら僕が弱弱しく見えたとしても暴力を振るうのは良くないと思う。

「お金が欲しいのは何のためじゃ!もしや悪いこと考えてないだろうな!」

老人は早足でこちらに歩いてきて僕の目の前に立つ。

何か確認しているような感じでジッとこちらの目を合わせてくる。

「あの違います、僕はケンカで勝たなきゃいけなくて、ボルグさんの家に尋ねたらお金が必要だって言われて、ボルグさんに冒険者になればお金を稼ぐことができるっておすすめされてここに来たんです」

悪いものではないと急いでここに来た理由を口にした。

僕の話を聞いた老人は青筋を立てていきなり怒り始めた。あれ、僕なんか行けないこと話したかな。

怒られるの嫌だよ!

「あんの馬鹿垂れ!こんな子供にお金を要求するとはどういうことだ!」

「ギブギブギブギブ!死んじゃうよ!」

ドンドン首が圧迫される。本当にこのままじゃ死んじゃうよ。受付の女性が焦った表情をしながら「このままじゃ死んじゃいますよ!」と老人に声をかける。

「おーすまんかったわい」

僕は受付の女性のおかげで解放された。

なんか今日は散々な日だよ。

僕は首を絞められていたのであまり息を吸えてなかった。

そのため僕は「はぁはぁ」と息が荒れてしまってうまくしゃべれない。

老人と受付の女性が僕に自己紹介をしてくる。

「改めてすまんかったわい、わしはパリストン支部のギルドマスターを務めている、ラルドじゃ」

「私はリサよ、あなた今気が付いたけどマリーの息子さんよね」

「えっ僕のママのこと知っているの?」

「ええ、よくギルドに来ているし、私息子が学校に通っているからそのことで情報交換とかするのよ」

「なに~、マリーの子供じゃったのか!」

あれここのギルドではママのこと知っている人が多いのかな。

そういえばママは結構有名な冒険者だって聞いていたし、ギルドに努めている人の子供が僕と同じ学校に通っていてもおかしくないと思う。

待てよ、少しリサさんはジンタに似ているような気がしてならない。

僕はリサさんに息子さんの名前を聞いた。

「あの~リサさんの息子さんの名前を聞いていいですか」

「ローグ君と同じ教室にいるジンタって男の子だよ」

「やっぱりそうなんだ、なんて不運だ」

僕はあまりのショックで床に膝が付いてしまう。

その様子を見たリサさんは「もしかしてケンカする相手はジンタなの」って僕に聞いてきた。

僕は首を横に振って違うと主張するがリサさんはわかっているような表情をしている。

「なんかジンタがね、生意気な奴がいるからぼこぼこにしてやるってはりきっていたのよ、まさか相手がローグ君だとは思はなかったけど」

「実はそうです、僕どうしてもジンタに勝たなきゃいけなくて」

僕はもうばれてしまっているのだから素直には話した。

リサさんから「なんでそうなったのか聞かせてくれないかしら」と言われ僕は渋々語る。ジンタにいじめられていたこと、この機会で変わりたいと思っていることなど伝えた。

「私の息子が迷惑かけてごめんね、ローグ君を冒険者にできないかなー」

リサさんはラルドさんを横目で見る。

少し気まずそうにしたがラルドさんは「ばれなければいいかの」とこちらに笑顔を向けてくれた。

僕はあまりの嬉しさに「やったー」とついつい喜んでしまった。それから3人で椅子に座り冒険者についての基本ルールを説明された。

なんか誰しもが知っているような常識ばっかりを聞かされる。

「なんか、学校で習うようなことばかりだけど」

「そうなのよね、ギルドにいる人たちは荒くれものだったりするから守らなかったりするのよ」

「そ、そうですか、僕いじめられたりしないですよね」

「それは大丈夫よ、根はいい人ばっかりだからね」

「わしが怖いからみんな悪いことはしないぞ」

言い方悪いかもしれないけど育ちが悪い人もいるみたい。

その人たちが悪いとかそういう話ではないけど勝手に人の物を壊さないとか、ギルドのルールになっているのはびっくりだ。

大切に扱うべきだと思う。

いやいや、マスターのラルドさんがいてもかなり悪さしているよね!

ラルドさんは「依頼の話をするからわしについてくるのじゃ」と席を立ち大きな木の黒板がある場所に歩き出す。僕とポップもラルドさん同じ場所に向かう。

(すごい、たくさんの手書きの依頼書が貼ってある)

びっちりと依頼書が重なるぐらい貼ってある。どれもこれも手書きでたまに読めない字で書いてある。

「ここに貼ってあるのは冒険者たちが受ける依頼じゃ、上から下に向かっていくほど難易度が簡単になっていくぞ」

「すごい、こんな感じで依頼がたくさん来るのですね・・・・・・・・あ、僕が好きな人助けの依頼が下のほうにある!」

黒板の一番下に人助けの依頼があることに気が付いて僕は興奮する。

ラルドさんは僕を懐かしそうに見て「リーゴのやつに似ているわい」と口にした。

「もしかして先生を知っているのすか?」

「なに、ローグ君はリーゴのアホを知っているのか!」

「知っています、リーゴ先生は僕が通っている学校の担任の教師ですよ」

ラルゴさんはすごい勢いで職務に戻ったリサさんのほうに向かう。

なんかすごい表情をしていたけどどうしたのかな。

僕とポップだけになってしまい、依頼書をたくさん読む。

一番上の依頼書を覗くとドラゴンと戦うだとか、キング種の討伐など想像するだけで身震いするようなものばっかりだった。

どんだけ稼げるのかも見てみると今まで数えたことがない桁のお金が書いてあった。こんだけあれば遊んで暮らせるよね。

それから10分くらいしてラルドさんが戻ってきた。

「リーゴのやつ、帰ってきているんだったらなんでわしに言わないんだ」

白髪の頭を触りながらラルゴさんはあまり今日会ったばかりの僕でもわかるくらい拗ねていた。

僕は拗ねている理由が気になり「リーゴさんやボルグさんとは仲いいんですか」と聞くとラルドさんは少し嬉しそうにする。

「当たり前じゃよ、あいつらはわしが大切に面倒を見てきたギルドの一員じゃ」

「でもリーゴ先生は王都にいたって聞いたけど」

ラルドさんはどこか寂しさを感じる表情を浮かべながらギルド内を見渡す。

何か大切なものを取られてしまったそんな雰囲気がラルドさんからひしひしと伝わってきた。

「まぁーそうじゃ、今やわしが育てた者たちはみな王都にいる、例外はいるがな」

「へーみんなすごい人ですね、王都に行くなんてなかなかできないって本で書いてありましたよ」

「そうじゃ!わしが育てたんだから当たり前だ!」

ラルゴさんは自分で育てたものの話をしているときに暖かな笑顔を浮かべる。

何かあったのだろうか、僕はラルゴさんのことが心配になる。

「そうだった、ローグ君がこれから受ける依頼なのじゃが、一番下にある依頼だったらなんで受けてよいぞ」

「本当ですか!これだけ依頼があればきっといっぱいお金がたまるはず」

これならお金がたくさん手に入るはずだ。

頑張って依頼をこなせばボルグさんにも体を鍛えてもらえる。

よし、やる気が出てきたぞ。

明日に何の依頼を受けようか見ているとラルドさんから「この子豚君の名前を教えてくれんか」と聞かれた。

僕は依頼表を見ながらポップの名前を伝えるとラルドさんは「そうか、お利口だな」と抱っこしながら撫でていた。

ポップはやっぱり嫌だって表情をするけど、抵抗はしない。

次の日になり、僕はギルドからもらった依頼書を持って依頼主様のもとに向かう。

ポップには家にいて僕が依頼をこなしていることをばれないようにママを誘導してほしいと頼んだ。

たまたま今日は学校が休みだったので、朝から夕方までたくさんの依頼をこなせるよ。できれば10個くらいこなせればいいかな。

「あら、ダメもとで頼んだけどずいぶん可愛らしい子が来たのね」

「僕まだ13歳ですけど、力になれますよ」

「わかっているわよ、配達だから、この弁当10個をこの住所に届けてほしいの」

この依頼主はぎっくり腰になってしまった弁当屋さんを営む40代くらいの女性だ。

僕に配達する住所が書いてある紙を渡した。

もともとこの日に配達の予約が入っていたけど昨日の朝に階段から落ちてしまってぎっくり腰になってしまったらしい。

依頼書には依頼主の住所とともに経緯をかけるスペースがある。

僕はそれを読んで判断している。

頼まれた弁当を急いで運んでいく。

「こんなにきついなんて僕知らないよ!」

この時間に届けてほしいとお客さんの住所の隣に書いてありその通りに行動するが一つ問題があった。

なんか住所がばらばらで距離が遠いところもいくつかある。

僕は気温がそこそこ高い中で背中に大量に弁当が入ったリュックサックを背負いながら走っていた。

これは2週間ぐらいこなせば僕痩せちゃうと思う。

弁当を色々なところに運び最後の一個になった。

僕はやっと依頼が一つ終わると思いながら最後の家に行ってブザーを鳴らすと赤髪の見覚えがある少年が出てきた。

「何で弁当屋が運んでくるものをお前が持って来ているんだ!」

「なんかぎっくり腰になっちゃったみたいで代わりに僕が運びに来ただけだよ」

少し気まずい空気の中ジンタは「なんだよお前、ご苦労だな」と僕から弁当を受け取って家の中に入って行った。

やべーまさかジンタの家に配達することになるとは思わなかったよ。

すべてが終り、依頼主からお金をもらうために僕は商店街にある弁当屋に向かった。

かなり汗だくになっている。

ベトベトしているけど悪くない感覚がする。

ただ歩いているときにかくよりも人助けをしているときに流すものは気持ちよく感じる。

登校中の汗は嫌だったけど、今肌の上に流れている水分は好きだ。

「あら運んできてくれたのね、はいこれね」

「弁当までもらっていいんですか!?」

弁当屋さんの女性からお礼にリュックサックを貰ってしまった。

「いいのよ、貴方みたいに頑張ってる子を応援したくなるのがこの町の大人でしょ」

「あ、ありがとうございます、リュックサックはどうすればいいですか?」

「今は大きくなったけど私の息子が使ってたのよ、貴方にぴったりだし使ってくれるとありがたいわ」

僕は弁当屋の息子さんのお下がりのリュックサックをもらう。

報酬でお金や弁当をもらったのにこんな便利なものまで譲ってくれるなんてやりがいがある仕事だと感じた。

僕は早く次の作業をしたかったので一旦家に帰ってもらった弁当を食べることにした。

僕は次の依頼主のために走って帰る。

「あら、その弁当どうしたの?」

「これ貰った、商店街の弁当屋さんの女の人が腰を壊したっていうからさ、手伝わなきゃって思って」

「そうなの、やっぱりローグは優しいわ、弁当の他に昼ごはん食べるわよね」

僕がもらった弁当はかなり量が多いけどそれプラスにママが大量の昼ご飯も持ってきた。大丈夫だよね、やっぱりだめそうだ。

僕はせっかく作ってくれたから残さず食べなければとひたすらに胃の中に詰め込んでいく。

僕は今まで嫌いなご飯を出された以外に残したことはなかったけどちょっと危ういかもしれない。

永遠に続く上がり坂をのぼっているような感覚に陥りながらも何とか完食した。

僕は破裂しそうなお腹やすりながら自分の部屋に行く。

中に入るとポップがベッドで横になっていた。

とても気持ちよさそうに。ママから聞いた話ご飯食べる以外はずっと寝ているらしい。

逆にすごいよね。

ポップの姿を見た後、急いで僕は次の依頼主のもとに向かった。

「最後は猫探しか、猫ってどこにいるのだろう」

僕は朝から9つの依頼をこなし目標まであとちょっとだ。

今回の依頼人は若い男性で飼っている猫が脱走してしまったようだ。人手が足りないってことで依頼を出したみたい。

いろいろなところを探しても猫はおらずこのままじゃ夕日が沈んでしまうよ。

「結構いろんな場所行ったんだけどな」

商店街や町を広範囲に走ってみているけどいる気配がなく猫の居場所はどこだって悩んでいるとギルドのほうから鳴き声がした。

たまたま商店街にあるメンチカツ屋さんあたりをちょうど歩いていたので聞き取ることができた。

急いで向かうとそこには3匹の猫が楽しそうに遊んでいた。

依頼主の猫は黒と白が特徴的だからあの猫だね。見つけることができた僕は猫に近づいて捕まえる。

「この猫ちゃんおとなしいな、な、なめないで」

人が飼っているからかとても人懐っこい。本当に動物ってかわいいよね。僕は依頼主のもとに猫を連れて行った。

「ありがとう!お礼に500ゴールドの2倍の額を払うよ」

僕の手に依頼金以上の金額を渡し走って行ってしまう。なんかこの町の人たちは色々くれるなと思いながら僕は家に帰った。


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