第12章 大学生の年末

第117話 登場人物と舞台紹介(7)

※現実の似た地名とは一切関係がありません。


〇舞台


・つくなみ研究学園都市


 研究学園都市構想けんきゅうがくえんとしこうそうを元に作られた新しい都市。秋葉原からTsukunami EXpress(TEX)で45分で、つくなみ駅に到着する。そこから筑派大学つくはだいがくの中央までさらにバスで15分。研究学園都市といえば聞こえはいいが、実際は単なるど田舎。各種研究施設があちこちに点在する。


・つくなみ駅


 かつて、陸の孤島と呼ばれたつくなみ研究学園都市と秋葉原を結ぶTEXの終着駅。近年、隣のつくなみ研究学園都市駅の方が発展してきている。


研究学園駅けんきゅうがくえんえき


 つくなみ駅の隣にあるTEX沿線の駅。つくなみ駅に代わって、発展している駅。駅の近くには、大きなショッピングモールなどがある。


筑派大学つくはだいがく


 茨城県いばらきけんにある総合大学。国立大学には珍しく、体育学部、芸術学部などの学部がある。プロスポーツ選手やオリンピックのメダリスト出身校、ロボット工学や計算機科学の分野で有名。日本有数の敷地面積を誇る。いわゆるAO入試の中でもかなり一芸入試に近いAC入試をはじめ、独特の制度を持つ。

 他に大学らしい大学がないため、ほとんどの筑派大学生は大学付近にアパートを借りるか学生寮に入って生活する。


Byteばいと編集部


 計算機学部誌「Byte」の刊行を目的としたサークル。編集部員の大半は、記事を書く以外は、ゲームしたり雑談したり、といった感じで部室を生活拠点の一部として利用しており、中には就寝スペースも。部室の隣にはシャワー室がある。部員の中には部室で週のほとんどを過ごす猛者も。これでも、計算機学部公認の冊子を発行しているサークルである。

 名前の由来は、コンピュータにおいて情報量を表す単位であるbyteから。


・らんらん


 筑派大学生がこよなく愛する丼もの屋、というか、らんらんという料理を提供する店。メニューはBIG丼一品のみで、洗面器のような巨大な器に豊富な具材が盛られている。一度食べた者は病みつきになるとか。


甘久保三丁目あまくぼさんちょうめ


 竜二や美優の住んでいたアパートがある地域。大学から徒歩0分という驚異的に近い立地もあって、この地域に住みたがる筑派大学生も多いとか。近くには、有名コンビニチェーンもある。その代わりに、スーパーやドラッグストアなどがある佐倉まではやや遠い。


甘久保四丁目あまくぼさんちょうめ


 竜二や美優が引っ越した先のマンションがある地域。甘久保三丁目程ではないが、大学からは近い。ここに住む学生も少なくはないとか。


佐倉さくら


 甘久保よりやや離れているものの、近くにスーパーやドラッグストアなどがある事から、甘久保に次いで学生に人気の土地。


大洗おおあらい


 茨城県の海沿いにある町。とあるアニメがきっかけで有名になったとかなっていないとか。現実にある似た地名とは無関係。俊の発案で、竜二たちは、大洗まで自転車旅行に出かける羽目になったが、つくなみ市との距離は約45kmもある。


末身池まつみいけ


 筑派大学構内にある有名なドブ池。悪臭を放っていることが多いので、進んで近づきたがる学生は少ない。『末身池の鯉を食べたら除籍』や『生物実験が行われている』などの都市伝説がある。作中では、この池にアヒルボート『修士号』が浮かべられた。


株式会社λ□かぶしきがいしゃらむだきゅーぶ

 

 型理論かたりろんの用語「ラムダ・キューブ」をそのまま会社名にしてしまった、アレな会社。どうやら、受託でプログラム開発などをしているらしい。


△用語


・ラムダ・キューブ


 型付きラムダ計算という数学上の体系には8つの異なるバリエーションがあるのだが、その異なる8つのバリエーション同士の関係を表した立方体ぽい概念図。普通のプログラマが扱うプログラミング言語の型システムはラムダ・キューブ上のどこかに位置づけられるのが普通である。


Linuxりなっくす


 フィンランドのLinus Torvalsが開発した架空のOS。ソースコードが公開されていて、誰でも自由に改良できるのが特徴で、Unix-LikeでフリーなOSの中でもっとも出来が良かったこともあって、世界中で広く使われている。現実世界における同名のOSとは無関係です。


FreeBSDふりーびーえすでぃー


 いわゆる、Unix-LikeなOSの一つ。Linuxよりだいぶマイナーになってしまったものの、まだまだ現役で使っているところもある模様。Linuxと同じく、ソースコードが公開されていて、誰でも自由に改良できる。


Raspberry Piらずべりーぱい


 とある財団によって開発された、小型コンピュータ(シングルボードコンピュータ)。略してラズパイ。もともとは教育用途だったが、実質パソコンとして使える割に値段が安いことや、センサー類を組み込むことが簡単なこともあって、趣味や業務の試作品を作るのに広く使われている。


・システムコール


 OSの機能を呼び出すためのインタフェース。ライブラリ呼び出しは、最終的にはシステムコールの呼び出しに行き着く事が多い。OSによってシステムコールの形は様々だが、いわゆるUnix-LikeなOSでは、おおむなPOSIX標準に従ったものが提供されている。Linuxでは、ファイルを読み書きするための、readやwriteなどのシステムコールがよく知られている。


〇登場人物


高遠竜二たかとおりゅうじ

 本作の主人公。筑派大学1年生で、計算機学部。学業成績はいたって平均的。身長170cm。体力弱し。中肉中背。

 美優の優しさを人一倍知っており、その毒舌癖を心配している。紆余曲折あって、美優と付き合い始めて、さらには同棲・婚約に至る。車を自分で持つための資金稼ぎのために、λ□社でバイトを始めた。

 趣味はアニメ、ゲーム、漫画、ラノベなどサブカル全般なオープンオタク。美優に比べて運動でも勉学でも劣ることに多少思うところはあるものの、努力でそれを補おうとする強さもある。

 美優からの愛称は「リュウ君」


朝倉美優あさくらみゆう


本作のヒロイン。筑派大学1年生で、計算機学部。学業成績は文理ともに優秀でスポーツ万能。身長160cm。くりくりした大きな瞳とふわふわな地毛、ガーリッシュな服装、スレンダーだが大きめの胸が特徴。

 容姿だけ見れば可愛い系女子そのもの。気軽に声をかけて来た男子をその毒舌で葬ってきたため、友達は少ない。本人は、毒舌をコンプレックスに思っており、治したいと思っている。

 かなり昔から竜二の事を想っていたが、紆余曲折あって竜二と付き合い始める。その後、竜二と同棲を始めた末に、婚約に至る。プログラム開発を行っているλ□社でバイトを始めることになった。

 趣味は竜二と似たりよったりだが、日頃からジョギングをして身体を鍛えている。特に、コンピュータについて図抜けた才能を持っていて、周囲を驚かせる事もしばしば。実は、コンピュータを好きになったのは、幼少期に竜二からFreeBSD上で動く「プログラム」を見せられたのがきっかけ。

 Byteの人たちと行動を共にしたかいあってか、初対面の男子とも徐々に普通に接することができるようになってきた模様。竜二からの愛称は「ミユ」。


川口俊かわぐちしゅん


 Byte編集部の部長。筑派大学大学院博士後期課程1年生。

 主人公たちをByte編集部に勧誘した張本人。Byte編集部の部員からも変人として知られている。服装も、よれよれのTシャツにデニムが基本という出で立ち。肉体は鍛えられており、片道40km超の自転車旅行(ママチャリ)をものともしない。

 変人だが、その面倒見の良さから、部員からも一目置かれている。Byte編集部の奇怪な企画の多くはこの人が発案。責任感は強く、熱中症で竜二が入院した時は、美優以外では真っ先にかけつけたりする人情味を見せる。

 ひょんなことから、竜二と美優の親友であるみやこと引き合わされ、彼女からの猛アタックの末に付き合うことになる。都によれば、日々、彼女には甘い言葉を囁いているらしい。


九条都くじょうみやこ


 竜二や美優の中学時代の友人で、現在、都内にある早穂田大学一年生。

 京都の公家である九条家の子孫。長い黒髪と切れ長の瞳が特徴な和風美人。

 両親から厳しくしつけけられてきたためか、誰とでも敬語で話す。やや人見知りの気がある。

 美優の思いつきから、Byte編集部の俊と引き合わされることになるが、意気投合。猛アタックの末に、俊と結ばれる。

 昔は竜二や美優に近い趣味だったが、現在は電子工作などハードウェアいじりにはまっており、Raspberry Piらずべりーぱいなどで色々なセンサーをスマホと連携させるといった事をしている。

 俊にぞっこんで、よく彼の部屋まで押しかけていえる。


山田和人やまだかずと


 Byte編集部員。筑派大学大学院博士前期課程(修士課程)1年生。

 身長180cmを超す長身で、大食漢だが、全身ムキムキのスポーツマン。高校の時は、登山の全国大会1位だったという経歴を持つ猛者。

 対戦系ゲームを好み、部室では竜二や美優、他の部員と対戦系ゲームをしている姿が目撃される。

 歯に衣着せぬ物言いが特徴だが、本人的には悪意は無い模様。一番歳の近い俊とよくつるんでいる。意外と情に厚い一面もある模様。


宮崎美園みやざきみその


 竜二たちの実家である両国のマンションで、1階下に住んでいる近所の女の子。教育ママな母親と衝突して家出したところを、竜二やミユと出会い、仲良くなる。竜二たちが大学進学以後はあまり連絡を取っていなかったものの、帰省した時に再会。竜二に淡い想いを抱いていたが、結果的にその想いはかなうことはなく失恋することに。


高遠幸子たかとおさちこ


 竜二の母。昔は父親と共働きだったが、出産を機に退職。今は、時期によってパートをしたりするが、専業主婦に近い状態。昔から、竜二と美優の事を見ていたため、早くくっつかないものかと思っていた模様。


山崎勉やまざきつとむ


 株式会社λ□らむだきゅーぶのCTO(最高技術責任者)。痩せ型で30代前半の男性。竜二や美優をバイトとして雇うことになる。CTOなど、やたら不必要な横文字を使いたがる業界の傾向があまり好きではないらし。


金城英彦きんじょうひでひこ


 筑派大学計算機システム科の教授。専門分野はオペレーティングシステム。その界隈では世界的権威として知られている。アフロな髪型が特徴的で、学生が変わったことをしていても、怒るどころかそれを推奨するような、ちょっと変わった人。


木橋健一きばしけんいち


 筑派大学計算機学部1年生。二学期になって編入してきた、大阪出身の男子。関西弁だが、出身である大阪については、その独特のノリについてやや複雑な感情がある模様。AC入試入学生で、学部1年にして本格的なプログラミング言語とその処理系を自作している。筑派大学に来る時に、如月陽向を振ったものの、追いかけてきたため復縁することに。


野口大介のぐちだいすけ


 筑派大学計算機システム科の教授。専門はネットワーク。Byteの大先輩であり、学生の頃から天才として知られていたものの、同時にその奇行ぶりでよく知られている人物。作中では、大学構内にある末身池まつみいけに謎のアヒルボート『修士号しゅうしごう』を浮かべるという奇行を行っている。そして、奇行にとどまらずに、それを大学当局に認めさせてしまう行動力の持ち主。


如月陽向きさらぎひなた


 元、大坂出身の女子。木橋とは幼馴染で、彼女だった。遠距離恋愛だからという理由で別れを切り出されたことに納得が行かず、はるか筑派大学まで追いかけて来た、執念深い女の子。結果として、木橋とよりを戻すことに成功する。よりを戻した後は、木橋の家によく泊まりに行っているらしい。

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