第84話 俺たちは引っ越しについて相談してみた

「ねえ、私達って結婚したらどうなるのかな?」


 朝ごはんを食べながら、ミユが唐突に言う。


「どうっていってもな……何がいいたいんだ?」


 ちょっと漠然としていて、何が聞きたいのかわからない。


「今はここで同棲してるけど、結婚したら引っ越すかとか?」


 問われて少し考える。


「つくなみは家賃安いしな。いいんじゃないか?2DKのとこ借りてさ」


 なんとなく、感覚で言ったのだけど。


「……こっちだったら、5万円しないみたい」

「マジ安いな」


 ミユがスマホで調べた、付近の2DK賃貸の価格を提示してきた。


「2LDKだったら、安いとこなら6万円くらいか。これもアリだな」

「今だと、私達で6万円近く負担かけちゃってるもんね」


 俺たちのアパートの家賃は2万8千円くらいの値段で、2人分だと6万円近くになる。この分は親に出してもらているけど、差額はバイトで稼ぐとして、引っ越しはありかもしれない。


「というか、結婚する以前に引っ越してもいいかもしれないな」


 続けて、


「結局、2部屋分負担かけちゃってるわけだしさ」

「そうだよね。一緒に住むんだったら、もう少し広い部屋がいいかもだし」

「今でもいいけど、ミユが時々不便だしさ」


 今も、一部の着替え等はミユが自分の部屋に取りに帰っている。


「寝室が別だとPCのスペースも取れるよ。それに……」


 少し言いよどんだ様子のミユ。


「それに?」

「えっと。2LDKだと、2人でゆっくりお風呂できるかなって……」


 少し照れた様子のミユ。一緒にお風呂か、確かに一度やってみたい。ここのお風呂だと狭っ苦しいしな。


「よし、やろうぜ。引っ越し」


 決めた。


「うん。やろうよ」


 ミユも乗り気だ。


「結婚する前でも、広い部屋の方が便利だしな」

 

 今更、同棲が失敗して別れるなんて心配しなくていいし。


「じゃあ、ちょっと物件探してみよっか」


 さっそく、PCを使って、物件検索を始めようとするミユ。

 

「その前に、親に許可取らないとな」


 大丈夫だろうけど、一応言っておかないと。家賃は出してもらってる身だし。


「ふふ。そうだったね」


 というわけで、電話してみたのだが、こっちもあっちも両親はOK。あとは、場所を探すだけだ。


「いいお部屋探そうね」

「だな」


 というわけで、俺たちの引っ越し計画が始まったのだった。

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