活動報告:読了作品を語っていく②

みなさん、おはようございます。


早速活動報告の第二弾をお送りしたいと思います。



第二作目

薮坂 様

https://kakuyomu.jp/works/1177354054895435727



平素よりご厚意にさせて頂いている作家様、薮坂様。

薮坂様は鋭い読書眼をお持ちで、拙作にも実に的確なコメントを下さいます。「これ、気がつく人がいないだろうな」と思っていた事をまず第一にコメントくださるので、いつも驚いているんですが、そんな薮坂様が書かれた本作、何かあるだろうなとは思っていました。結論、やっぱりありましたね!



さて、作品の内容ですが、本作の魅力はやはり「二人の会話」と「距離感」です。

キャラ造形が良く作られており、キャラが喋らされている感のない、生きた会話劇が続きます。自称「不良教師」でもある不器用な面のある葉太と、複雑な面を持つ桜子とが打ち解けていく様子が自然に描かれています。普段は教師と生徒という一定の距離感がある二人ですが、その公園ではお互い一人の人間として、ペルソナを意識することなく関わることができる。だからこそ――。

登場人物の状況と心理を良く理解されているのだと思います。


また桜子の抱える「悩み」に、ある具体的な設定がされているのも良いですね。ただ生きていくだけではそこまで問題にならないかもしれない「ソレ」も、桜子が自身の感情と向き合うほど、障壁になる。本人にしかわからないその状態に、不器用な葉太が何を思い、何を伝えるのかが見どころです。


個人的に、このメッセージがとても好きです。

頑張ること、好きでいることを全力で肯定してくれるのは、とても気持ちが良いものがあります。もし何かに頑張ることに疲れてしまったり、夢中になることを恐れたり、自分の才能を信じることができなくなってしまっているのであれば、ぜひ、この葉太のエールを受け取っていただきたいと思います。


そして最大のポイントは、それをうまく「葉桜の君に」というタイトルに絡めてきていることです。作品名と物語をしっかりとリンクし、双方に意味をもたせているのは、やはりさすが作者様だなと感じました。


こういうところはとても大事に思います。

いくら良い部品が揃っていても、それらが整合性とれていなければ、出来上がった商品はいびつなものになってしまいます。そのアンバランスさを楽しむ作品もありますが、これをスマートに見せようとすると、深い考察が必要になります。事象と事象を紐付けることは、簡単なようでいて実は難しい。


例えば「猫が路上で死んでいた」ことと「首相が失言をしてメディアにバッシングされている」を不整合なく結び付けられるとしたら、それは「この題材で作品を書き上げられる」ということです。そこに感情移入までも可能なドラマを思い描けるということですからね。


また本作もとても読みやすいです。ライトノベルは読むけど普通の文芸は読まない、そんな若年層でも楽しめる筆致です。WEB小説という媒体はやはり気楽さがないと読まれにくいという傾向があるので、その点においてもこの作品は成功していると思います。



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