第3話昼休み

食堂で昼飯を食べた後、天気のいい日は中庭のベンチに行き皆でジュースを飲む。

なかなか4人揃うことがなくなってきてたから、今日は久しぶりに皆で昼飯からのジュースを飲みながらの雑談。

3人は俺が異世界に行ったことがないのを知っているから、あまり異世界の話はしない。

たまにどんな世界だったのか話に上がることもあるけれど、聞いていて楽しいから苦には感じない。

あまり仲良くないクラスメートだと、やたら自慢気に異世界の話しかしないから正直、苦痛だったりする。


『まだしばらくは地球にいたいよな。久しぶりに揃ったんだし遊びにも行きたいし』

と進。

俺らの中で一番、明るくて誰とでも仲良くなれる性格だ。


『でもなかなかバイト出来ないのはイタいよなぁ。遊びたくてもそんなにお金ないぜ~。異世界行ったところで経験値が増えるだけでお金は増えないんだぜ!』

なのに一番、昼飯とかを奢ってくれる翼。


まぁ、俺以外の人間はほとんど異世界召喚の経験があるから子供に多目に小遣いを渡す親が多かったり理解してくれる企業も多いから全くバイトが出来ないわけでもない。

ただ、働ける日数がどうしても減ってしまうからそんなに稼げないのも事実だ。

なんだか理不尽な気もするが…。


『お前等は異世界での経験を生かそうと考えたことはないのか?確かに技術面は忘れてしまうことが多いけれど覚えてることもちょっとはあるだろ?体で覚えた体術とかはそのままだし、こっちで役立てられることもあると思うけど』

さすが学校一秀才の優翔ゆうと

言うことが違う。きっと優翔は何かしら小遣い稼ぎをしているに違いない。

異世界行ってもこっちの世界の技術とか、何かしら荒稼ぎしていそうだ。


『まじかよ?そんな発想、全く思いつかなかったぜ~。やっぱ優翔の頭の中は俺らとは違うんだろうな。お前は絶対、異世界でも荒稼ぎしてんだろ!』

翼が詰め寄る。

『そんでもって可愛い子とかもいっぱい寄ってきて、各異世界に彼女とかいたんだろ?実は異世界で結婚してたりしないよな?』

彼女いない歴=年齢の翼が涙目で優翔に更に詰め寄る。

『なんか話、飛んでないか?結婚なんてしてないし彼女だっていないよ。まぁ、娘の婿になって家督継いでくれないかって話は沢山貰ったけどな。でも俺は正直、興味ないから全部断ったけど。結婚生活よりその世界の色んな技術とか勉強する方が楽しいからな』

そのうち辞典が恋人ですとか言いそうな勢いだ。

優翔はモテるくせに恋愛にはあまり興味がなく、一度付き合った経験はあるけれど女性からしたら冷たく感じるらしくすぐに別れてしまっていた。

優翔なりの優しさも十分あったけど、表現の仕方が下手くそなんだよな。

『でもさぁ、めっちゃ勉強出来て彼女いてめちゃくちゃ完璧人間よりも今のその優翔が俺は好きだ~』

いきなりの進の告白。

『俺も進の明るくて誰とでも仲良くなれる性格、好きだぜ。正直、羨ましいよ。俺は勉強出来ても人付き合いは苦手だから打ち解けるのに時間がかかるんだよな』

まさかの優翔の悩み告白?

『そう考えるとバランス良く生きてるのはやっぱ海渡かいとなんだろうなぁ。別に異世界行行ったことなくても最終的に地球で生きていくから一番、海渡がお買い得だよな。先生受けもいいしバイト先でも従業員だけじゃなく客受けもいいもんな』

お買い得ってなんだよ、翼…。

『そうだな、彼氏にするなら俺も断然海渡がいいな』

『優翔までなんなんだよ?』

『俺と付き合ってくれ~、海渡~』

いきなり翼が俺に抱き付いてきた。

『翼はヤケクソになるな!抱き付くな~!』

翼は俺より身長があるから襲われている気分。

進と優翔は笑って見ているだけ。


4人揃うとこんな感じにワイワイやって、最終的に俺がいじられる。

なかなか会えないから寂しくなるのか?

ちなみに俺には彼女がいる。

異世界、行かなくても充実してるぜ!

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