わがまま真っ盛り

「なんで我が地球調査なんか…父上が行けばいいのに」

地球へ向かう宇宙船の中でヒマワリはぶつぶつ文句を言いながら宇宙食のクッキーを貪っていた。

「やっぱり宇宙食って味気ない…ねぇエミ、サーキ堂の期間限定クッキーってないかな。」

「申し訳ございません。何分、旦那様から宇宙食以外は持ち込むなと仰せつかっております故…」

お供のメイドのエミが眉を下げながら丁寧に答えた。

「食べ物くらい好きなの食べたいのに…ワープし続けてるから景色もずっと真っ暗だし、つまんない。」

そう言いながらヒマワリは最後のクッキーを食べ終え、ソファに寝転がった。

(地球…かぁ…)

 ハート星では、義務教育の過程で『地球学』を履修するのが必須となっている。ヒマワリも学校で地球学の授業を受けたので多少なりとも地球について知識はある。しかし、そこまで思入れがあるわけでもないし、興味もない。

(まだまだ着かないし、やることもないし、つまんないし、寝るか…)

ヒマワリは眠気に素直に従い、目を閉じた。


「…様……ワリ様…ヒマ…リさま」

遠くから聞こえる声が次第に近づいてくる。ゆっくり目を開けると、ぼやけた視界の中にメイドのエミらしきシルエットがぼんやりと見える。

「ん…エミ…着いたの…?」

「はい…しかし…東京という日本の首都に目的地を設定したのですが、何故か郊外に到着してしまったようです…」

「えー!!何で!?」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る