ほし越えるヒマワリ
駒
とある星のお嬢様
ここは、地球から10億光年離れた星。
その名もハート星。
大気の8割は硫化水素が占め、生物は二酸化炭素を吸い、酸素を吐いて呼吸している。都市部はビルが所狭しとひしめき合い、郊外は豊かな自然で覆われているという点では地球にとても似ている。
ただし、決定的に違うのは人々の姿だ。
地球で邪悪なものとして恐れられている、悪魔にそっくりなのだ。ヤギのような大きくうねった角、蛇のような鋭い目、漆黒の翼。
そんなハート星人は、地球が創られた頃から地球人と友好的な関係を築きたいという考えの基、調査を行なっている。地球調査を行うハート星人は限られており、政府から指定される家の者しかできない。毎年指定を受ける家は名家と呼ばれており、コンラージュ家も、その名家の一つだ。
とあるコンラージュ家の休日。名家のお嬢様と執事が談笑し、荘厳な庭園を眺めながら優雅なティータイム…と言いたいところだが、名家のお嬢様にそぐわぬハート星人がいた。
「ひゅ~!!たぁのしぃ~!!!」
無邪気に庭のブランコを勢い良く立ちこぎしているのは、コンラージュ家の跡継ぎ娘のヒマワリだ。
「こら!!またそんなことしおって!もっとおしとやかにだな…」
コンラージュ家の現当主であるヒマワリの父が呆れたように叱責する。
「や~だよ~!!だってブランコ好きなんだもん!」
ヒマワリは、ブランコ勢いを緩めない。
「お前ももう16だろう・・そろそろコンラージュ家の跡取りとしての自覚を・・」
「あ~はいはい聞き飽きたよーだ。」
「はぁ・・では今お前に初めて伝える事柄を言うぞ。ヒマワリ、明日から地球調査に行きなさい。」
勢いよくこいでいた足がピタリととまり、金眼が大きく見開かれた。
「・・・へ??
「そうだ。お前はあまりに自分勝手すぎる。地球にある日本という国の『和』を重んじる精神を学んできなさい。」
「はぁ~!?」
ヒマワリの素っ頓狂な声が広大な屋敷中に響き渡った。
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