王裕之5 彈棊八勢    

王裕之おうゆうしは小柄だったが、

折り目正しい佇まいであった。

桓玄かんげんはかれを「彈棊八勢だんきはっせい」と呼ぶ。

彈棊は囲碁の石で

おはじきごっこをするもの。

そうすると八勢で、何らかの技、

となるのだろうか。

キビキビとした動きを語っていそうだ。


終の地となった舍亭山しゃていざん

木々や渓流に恵まれており、

登るにも、眺めるにも適した山だった。

なので人々は王裕之のことを

王東山おうとうざんと呼んでいた。


劉義隆りゅうぎりゅう、王裕之に対し、

政についての成功失敗について問う。

すると王裕之は答える。


「天下には、確かに取るべき道、

 というのがございます。

 しかしながら、人々がそれを

 あえて語ろうと思うでしょうか」


劉義隆、高邁な発言だ、と感心した。


王裕之は常に二人の老婆を従えていた。

彼女らに髪を結い上げ、かんざしを飾らせ、

青い紋様の入った着物をはおらせ、

赤い粉での化粧をさせる。


その娘は何述之かじゅつし何尚之かしょうしの弟)に嫁ぐ。

ある時王裕之は娘の様子を見に

何尚之の家に赴いた。

ら、あいにくと何尚之が不在。

なので書斎に立ち寄り、そこで寝る。

えっ?


そこに、何尚之が帰宅。

何故か書斎で王裕之が寝ていると聞く。

どういう状況か、よくわからない。

ともあれ何尚之、書斎に向かう。

が、入り口のところには、老婆が二人。

王裕之の側仕えの二人だ。


彼女らは言う。


「暑さで参っており、

 とてもお顔を合わせるに

 堪えられる有様ではございません。

 どうか、お立ち去りくださいませんか?」


えっ待って?

何尚之さんが家の主じゃないの?


っが、老婆たちに譲る様子はない。

仕方がないので、

何尚之、別の部屋に引き下がった。




敬弘形狀短小,而坐起端方,桓玄謂之「彈棊八勢」。所居舍亭山,林澗環周,備登臨之美,時人謂之王東山。太祖嘗問為政得失,敬弘對曰:「天下有道,庶人不議。」上高其言。左右常使二老婢,戴五絛五辮,著青紋袴襦,飾以朱粉。女適尚書僕射何尚之弟述之,敬弘嘗往何氏看女,值尚之不在,寄齋中臥。俄頃尚之還,敬弘使二婢守閤不聽尚之入,云「正熱,不堪相見,君可且去。」尚之於是移於它室。


敬弘が形狀は短小なれど、坐起に端方なれば、桓玄は之を「彈棊八勢」と謂う。居せる所の舍亭山は林澗環周にして、登臨の美を備わば、時人は之を王東山と謂う。太祖は嘗て為政の得失を問わば、敬弘は對えて曰く:「天下に道有れど、庶人は議せず」と。上は其の言を高しとす。左右に常に二老婢を使い、五絛五辮を戴せしめ、青紋の袴襦を著かしめ、飾りたるに朱粉を以てす。女は尚書僕射の何尚之が弟の述之に適ぎ、敬弘は嘗て何氏に往きて女を看たらば、尚之の在らざるに值い、齋中に寄りて臥す。俄の頃にして尚之の還ぜるに、敬弘は二婢をして閤を守らしめ尚之の入りたるを聽さず、云えらく「正に熱し、相い見ゆるに堪えず、君は且しく去るべし」と。尚之は是に於いて它室に移る。


(宋書66-5_任誕)




え、えーと……これは、どう判断すべきなのかな? 理解に苦しむ。なんか寓意があるのかなー。


面白そうな気配は感じるんだが、よくわからん。

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