裴松之4 天下をめぐる  

劉義隆りゅうぎりゅう徐羨之じょせんしらを倒し、

ようやく本当の意味での皇帝権を得た。

そこで劉義隆、国内各州に大使を派遣。

それの意味は見回りか、アピールか。


ともあれ、派遣された大使は以下の通りだ。


揚州(建康けんこう周辺)→

 袁渝えんゆ(通直散騎常侍)

 孔邈こうばく(司徒左西掾)


荊州(長江中流、いわゆる西府)→

 陸子真りくししん(尚書三公郎)

 甄法崇きんほうすう(起部)


南兗州(建康の北西、淝水あたり)→

 范雍はんよう(員外散騎常侍)

 龐遵ほうじゅん(司徒主簿)


豫州(淝水と洛陽の間)→

 孔默こうもく(前尚書右丞)

 

徐州(長江の北、海沿いのエリア)→

 王歆之おういんし(軍參軍)


青州、兗州(山東半島周辺)→

 車宗しゃそう(冗從僕射)


湘州(荊州と揚州の間)→

 裴松之はいしょうし


雍州(荊州の北、武関を経て長安に)→

 阮長之げんちょうし(尚書殿中郎)


益州(四川盆地、いわゆる蜀)→

 殷道鸞いんどうらん(前竟陵太守)


広州(南岸エリア、香港周辺)→

 李耽之りしんし(員外散騎常侍)


梁州・南秦州(漢中及び四川盆地北東)→

 殷斌いんひん(郎中)


交州(ベトナムとの国境付近)→

 阮園客げんえんきゃく(前員外散騎侍郎)


寧州(南西部の険しい山脈エリア)→

 潘思先はんしせん(駙馬都尉、奉朝請)


大使らは皆、散騎常侍をも兼ねた。




太祖元嘉三年,誅司徒徐羨之等,分遣大使,巡行天下。通直散騎常侍袁渝、司徒左西掾孔邈使揚州,尚書三公郎陸子真、起部甄法崇使荊州,員外散騎常侍范雍、司徒主簿龐遵使南兗州,前尚書右丞孔默使南、北二豫州,撫軍參軍王歆之使徐州,冗從僕射車宗使青兗州,松之使湘州,尚書殿中郎阮長之使雍州,前竟陵太守殷道鸞使益州,員外散騎常侍李耽之使廣州,郎中殷斌使梁州、南秦州,前員外散騎侍郎阮園客使交州,駙馬都尉、奉朝請潘思先使寧州,並兼散騎常侍。


太祖の元嘉三年、司徒の徐羨之らを誅せるに、大使を分遣し、天下を巡行せしむ。通直散騎常侍の袁渝、司徒左西掾の孔邈をして揚州に、尚書三公郎の陸子真、起部の甄法崇をして荊州に、員外散騎常侍の范雍、司徒主簿の龐遵をして南兗州に、前尚書右丞の孔默をして南北二豫州に、撫軍參軍の王歆之をして徐州に、冗從僕射の車宗をして青兗州に、松之をして湘州に、尚書殿中郎の阮長之をして雍州に、前竟陵太守の殷道鸞をして益州に、員外散騎常侍の李耽之をして廣州に、郎中の殷斌をして梁州・南秦州に、前員外散騎侍郎の阮園客をして交州に、駙馬都尉、奉朝請の潘思先をして寧州に、並べて散騎常侍を兼ぬ。


(宋書64-14_政事)




ここで名前が出てくる人たちは、割と徐羨之ラインに睨まれてた人なのかもしれませんね。そのラインナップを眺めてみると、


袁孔陸甄范龐孔王車裴阮殷李殷阮潘


孔氏、殷氏、阮氏が二名ずつ。

その他も、まぁ名族の皆様です。甄龐潘の三氏はぱっと人物を思い浮かべられませんが。車氏はたぶん車胤しゃいんに連なる人なんじゃなかろうか。このラインナップでしゃ氏が混ざってないのはやや興味深いところ。やはり謝晦しゃかい誅滅によって、謝氏の役割が少し後退してしまった感じなんでしょうか。会稽かいけい謝氏についても、もしかしたら五斗米道の乱でだいぶ潰されちゃったのかもしれませんし。この頃だと会稽諸氏族は孔氏の一人勝ち状態になっていそうです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る