巻63 劉義隆の側近

王華1  王廞の乱    

宣侯 王華おうか



王華。字は子陵しりょう琅邪ろうや臨沂りんし県の人。

王弘おうこうと同じく、王導おうどうのひ孫だ。

こちらは祖父が王導の末っ子、王薈おうかい

衞將軍、會稽かいけい內史にまで至った。

父は王廞おうきん、太子中庶子、司徒左長史。

に在住していた。


しんの安帝が立って間もなくの頃、

王国宝おうこくほう打倒に王恭おうきょうが立ち上がると、

この頃母の喪中であった王廞、

それでも強引に王恭に駆り出された。


えーマジ、それっておかしくね?

王廞もそう考えはしたのだろうが、

王恭サマの命とあれば

逆らうわけにもいかない。

何とか兵力を招集した。


とは言えその陣容は、

娘を貞烈將軍としたり、

女官たちに軍の雑務を

任せねばならない、と言ったもの。


しかも王廞が

馳せ参じようとしたころには、

すでに王国宝は殺されていた。


そのため王恭は王廞に

「お疲れ、解散!」と言い出す。


えっなにそれ、ふざくんなよ?

こちとらもう、決起にあたって

多くの人を大義の元に

殺しちゃったんですけど?


ブチ切れた王廞、決起した兵力を

王恭打倒に回し、大義名分を

取り戻そうとした。


が、王恭の対応も速かった。

配下将の劉牢之りゅうろうしを派遣し、

王廞軍を粉砕。


王廞は行方知れずとなったし、

長男の王泰おうたいは王恭に殺された。




王華字子陵,琅邪臨沂人,太保弘從祖弟也。祖薈,衞將軍,會稽內史。父廞,太子中庶子,司徒左長史。居在吳,晉隆安初,王恭起兵討王國寶,時廞丁母憂在家,恭檄令起兵,廞即聚眾應之,以女為貞烈將軍,以女人為官屬。國寶既死,恭檄廞罷兵。廞起兵之際,多所誅戮,至是不復得已,因舉兵以討恭為名。恭遣劉牢之擊廞,廞敗走,不知所在。長子泰為恭所殺。


王華は字を子陵、琅邪臨沂の人、太保の弘の從祖の弟なり。祖は薈、衞將軍、會稽內史。父は廞、太子中庶子、司徒左長史。吳に居在し、晉の隆安の初、王恭の兵を起こし王國寶を討ちたるに、時に廞は母の憂に丁し家に在り、恭は檄にて令し兵を起たしむれば、廞は即ち眾を聚め之に應じ、女を以て貞烈將軍と為し、女人を以て官屬と為す。國寶の既に死したるに、恭は廞を檄し兵を罷らしめんとす。廞の起兵の際、多きを誅戮せる所にして、是に至りて復た已に得たらざれば、因りて兵を舉げ以て恭を討ち名と為さんとす。恭は劉牢之を遣りて廞を擊たしめ、廞は敗走し、所在を知らず。長子の泰は恭に殺さる所と為る。


(宋書63-1_仇隟)




謝晦しゃかいがその檄文で「陛下を誤らせた諸悪の根源は貴様だこのクソ王華!」くらいのことを言っている、その王華さんです。「父親が反逆者なのにもかかわらず、劉裕様が特別にお許しくださったんじゃねえか!」とか謝晦が言ってますけど、まぁこれ王恭のほうにもだいぶ罪がありますですよね……。


陣容からしても、王廞さんだいぶ無理して編成したっぽいのが伝わるものね。これ王廞さんあんま悪くないんじゃねえの……。

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