第267話 姉貴

が帰ってきたのは、ちょうど私たちの集中力も切れかけていた夕方5時頃だった。


「よっす〜、帰ってきたよー……って、お客さん?」


目が合ったさちと雪原は少し気まずそうにしながらぺこりと頭を下げた。


「お、お邪魔してます……」


「こんにちは……

えっと、ひより先輩のお姉さんですか?」


「うん、そーだよ〜。

桐奈きりな、大学2年生。よろしくね〜」


その人、つまり私の姉貴は簡単に2人に自己紹介すると、その場で服を脱ぎ始め──


「ちょっ姉貴!ストップ!」


ちらりとさちの方を見ると、雪原が顔を真っ赤にしてさちの目を両手で覆っていた。


そして姉貴はというと、シャツのボタンがほとんどはずれた状態で止めて不思議そうな顔をしている。


「どしたの?」


「どしたの?じゃない!お客さんいるのに普通ここで脱がないでしょ!」


確かに姉貴は、たまに帰ってきた時にはいつも最初にお風呂に入って、しかも洋服は今しようとしたみたいにリビングに脱ぎ散らかしていく。

でも、まさかお客さんがいる時にもやるとは思わなかった。


「いいじゃん、みんな女の子なんだし」


「男もいるから!」

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